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電子書籍と紙の本、その先行きを考える

今日は、これで終わりだ! と残る気力を振り絞って送付したメールに、更なる要求がいろいろと記載された返信が送られてきて、五体投地したくなっています。

さて、……

私自身、電子書籍を出版したし、実は別の筆名で紙の本も出版している。著者であり読者でもある立場として、それぞれの善し悪しや先行きを考えてみたい。

1.紙の本の制約

紙の本には作る側のみに掛かる制約がある。それはページ数。電子書籍は、そもそもページ数という概念がない。というのは、個人で文字の大きさの設定を変えられるからである。

しかし紙の本では、ページ数は複数の問題をはらむ。まず、当たり前だけど偶数ページでなければならない。しかも、できれば16の倍数ページを求められる。

これは、単純に「折」の問題である。16ページまでは裏表1枚の紙に刷ることが可能で、できればこの単位に揃っていた方が印刷単価を抑えられる。

もちろんプラス2、或いは4ページも可能ではあるが、割高になる。これは電子書籍では出てこない問題だろう。

また、電子書籍はスマホでも読める。だから、新たな場所を必要としない。この点で紙の本は電子書籍に劣位となる。本好きな人というのは一定数いるのだけど、本の置き場に困っている人は多い。

更に、紙の本は重い。ぶっちゃけ家財で一番重いのは本だと言われる。本のために床を補強する例もあるくらいである。

場所を取って重いとなると、今の時代には合わない。レトロブームで多少回復することはあっても、その先が続かないだろう。


2.電子書籍にないもの

一方で電子書籍では、基本的に所有権がない。あくまでも利用する権利を持っているだけである。従って、他人にその権利を譲渡できない。

これはあまり意識されていない点だと思っている。「面白い本だったから家族にも勧めたい」と思っても、家族のスマホに利用権を移転することはできない。

紙の本であれば、この点は完全にクリアできてしまう。

まあ、例えば本を買うのはお父ちゃんの役割だとして、一つタブレットを買ってそこに電子書籍を集中するという選択もできなくはない。でも、そのタブレットはほぼほぼ電子書籍専用になってしまう。

また、私のライフワークになっている相続の対象にはならないだろう。基本的に利用権は一身専属のものとなるので、子や孫が引き継ぐことは今のところ難しい。

3.紙の本の優位

実は、電子書籍は紙の本より内容が頭に残りにくいと思っている。電子書籍を読む時と紙の本を読む時で使っている脳の部位が違うような気がする。紙の方が落ちついて読めて記憶にも残りやすいと感じているのは、私だけだろうか?

4.電子書籍の優位

電子書籍は、一度読んだ本で「あれ、どこに書いてあったっけ?」という場合に、探している箇所を検索で見つけやすいという長所がある。紙の本はこの点で及ばない。

分厚い本も手元のデバイスに簡単に収納できるので、それができるならばかなり楽である。読んで圧倒された丸山健二さんの『千日の瑠璃』を図書館で見てもらえば分かるが、あの分厚い本でも持ち運びが格段に楽になる。

更に、本を作る側からいうと、電子書籍は出版後の修正が容易である。紙の本は一旦世に出たら修正は難しい。この点「証拠」が残ってしまうのである。

5.結論

今後ますます電子書籍化は進み、紙の本の受難は続くと思われるのだけど、紙の本もそこそこ残るだろう。ただ、電子書籍は更に紙に近づく努力をするだろうし、ある閾値を超えれば電子書籍の割合は更に大きくなると考える。

お読み頂き、ありがとうございました。

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