老人ホームの面会禁止措置も解除、でも越えるべきハードルはまだ残る
PexelsのKampus Productionによる写真
ここにきて、暑い日が続いています。ただ、もう夏の日は戻ってこない。
さて、……
緊急事態宣言の解除を受けて、母の入居する老人ホームも面会不可の方針を改めた。でも制限無しではない。
2回の新型コロナウイルスワクチン接種を済ませたか、面会2日前までにPCR検査で陰性であったか、のいずれかの証憑の提示が必要とのこと。さらに、面会時間は10分に限定されており、事前予約も必須。
抵抗力の弱い老人の入居する施設であれば、このような処置もやむを得ないと理解する。老人ホームに実際に足を運んだ方であれば、この厳しさについても納得できると思う。
基本的に、お年寄りはマスクを嫌がる。しかも、マスクをしても鼻が出ていたりすることはザラ。ぶっちゃけ、今のお年寄りで新型コロナウイルス感染症について正しい知識を持っている割合は、かなり低いと思う。
私自身、母に「今はスペイン風邪の時のような状況だ」と話したことはある。でも「そんなことを言われても分からない」と一蹴された。
スペイン風邪は微妙に母の世代より前のできごとであり、知っているのではないかと期待したが、そうはならなかった。方便とはいえ、重いインフルエンザだとウソになるよなあと悩んだものの、通じなかった。
老人ホームでは、三度の食事は食堂にて皆で食べる形となる。その際は、当然皆がマスクを外す。感染リスクは高まる。よって施設側としては、外部からのウイルスの持ち込みは何としても避けたいところである。
だから、そのリスクをできるだけ下げようと家族の面会に厳しいルールを定めるのはやむなしだと私は受け止めている。
老人ホームで感染者が出れば、上述のような環境によりクラスター化しやすい。それは施設そのもののレピュテーション(評判)リスクに直結し、かつ施設職員にも感染リスクが及び、シフト勤務が成り立たなくなる可能性もある。
そうかと言って、感染させたくないからと施設入居者を急遽自宅に引き取って介護するのは現実的ではない。それができるなら、最初から入居させたりはしないからである。
緊急事態宣言の解除を以て全てが自由になったかと言えば、さにあらず。目に見えない所で対応に苦慮している人の存在を、心に留めなければならないと思う。
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