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連立多元方程式のように解は綺麗に一つにはならない

ここ数年を一年間単位で見た時に、暑い・寒いが長く、涼しい・温かいが短いと感じます。不快な期間が大部分を占め、快適な期間がごく一部という状態が、人の心にも負荷を掛けることになるのは当然のこと。昨今のささくれだった世相も、この影響があるかも知れませんね。

さて、……。

世の中が生きにくい理由にはさまざまなものがある。収入が少ない、育児への支援が少ない、物価が上がっている、新型コロナ等の新たな病気が蔓延している、親の介護が始まった……言い出したらキリがない。

単純明快な解決策があれば良いのだけど、実際はそうではない。例えば収入。これを企業に求めると、企業はそれを価格転嫁せざるを得ない。そうすると、物価を上昇させる側に作用する。

育児支援も、究極のところ行政の懐具合に依っているところが大きい。税収は景気に左右されるところもあって、意のままにならない。

新しい病気についても、ワクチンの開発には費用と時間が掛かる。その間、経済活動だけは従前通りというわけにもいかない。

親の介護は、適切な介護施設に対応してもらうべきだと私は思っているが、それを避けて自ら離職して介護をする人も少なくない。でも、それは収入が断たれてしまうことにつながり、介護が終わった後にどうする? の問題が持ち上がる。

このように、それぞれの課題は複雑に絡み合う。お金という共通基盤に立ったとしても、各自の事情や感情のために明快な方向性は見えてこない。

今心配事が全くありませんという人は少なく、多くの人が一つや二つは心配や懸念を抱えて生きている。もっと多くを抱えている人もいるだろう。それらが増えれば増えるほど連立多元方程式は積み上がり、それを解くのは大変な労力となる。

しかも、解いているそばからさらに与条件が加わったり、本人が精神的に不安定になったり、制度や仕組みが変わったり、といったことも珍しくない。誰かが代わりに解いてくれることはない一方で、そもそも解が一つではないとも思う。

むしろ、ビシッと綺麗な正答が出て、それで一気に全ての心配事が消えてなくなると思う方が間違っている、くらいの良い意味での居直りをすべきではないかと考える。

じわじわと対処療法をするだけで根治が難しくても、それで当座しのげるのであればそれでヨシとするのもアリだと思う。問題の先送りというと印象が悪いけれど、一気に抱え込んで潰れるよりは遥かにマシ。私はそう考える。

お読み頂き、ありがとうございました。

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