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偉い人、スゴい人の名言は、常に再現性に欠ける

今日は曇りがちながら日が差す場面もあり、日が当たるとその圧に負けそうになりました。多くの人が半袖を着て出ているのを見て、取りあえずTシャツはいつでも着られるようにタンスの前側に入れ直し、更なる暑さに備えます。

さて、……。

世の人は多くの場合、自らのヒーロー・ヒロインを求める。推せる人、憧れの人、心酔できる人を見つけ出し、その言動に注目する。

今なら野球の大谷選手、将棋の藤井八冠等はまさにその対象の最右翼だろう。歴史上の人物だと徳川家康、諸葛孔明、山本五十六(順不同)等、結構な数の人が該当する。中にはAppleの共同創業者の一人であるスティーブ・ジョブズを推す人もいるだろう。

もしかしたら、今年の大河ドラマブームに乗って、紫式部や清少納言も新たにヒロインとして加わるのかも知れない。

今の世で活躍して注目を集める人、歴史的な業績を残した人の言葉には重みがある。例えば大谷選手の「憧れるのをやめましょう。今日トップになるために来たので」には、このような心意気を持つからこそ今の彼があるとの強い説得力がある。

徳川家康の「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」は、実は彼が60歳くらいまで自分より力のある者に頭を下げ続けたその人生に照らすと、より実感を持って我々に訴えかけてくる。

それらの名言を座右の銘とする人って、世の中には多い。それはその人の生きるための指針として機能する。

ただ、その再現性についてはどうだろうか?

かつて、とあるプロゴルファーRが英語教材のCMキャラクターに起用されたことがある。聞き流すだけで英語をマスターできるというその商品購入者のレビュー「私はR君にはなれませんでした」は秀逸だと思う。

これは半分以上冗談。だけど、推しの人の言葉を信じて同じように行動しても、同じような結果を出せるとは限らない。もっと正直に言えば、同じような結果を出せた人はまずいないと思っている。

有名人・偉人とされる人が「○○という信念を持って××という成果を上げた」というのが真実だとしても「××という成果を上げるためには、○○という信念を持つ必要がある」「○○という信念を持っていれば、必ず××という成果を上げられる」は成り立たない。

彼らの名言には、残念ながら再現性がないのである。もし再現性があるなら、世の中はもっと偉人に満ちているだろうし。

ただ、だから全く役に立たないかというとそれも違う。人生は常に山あり谷あり。一寸先は闇である。そういう中で、生きるために何らかの指針を持ちたいと考えるのは人の性(さが)。既に述べた通り、指針として機能するならそれも立派に役立っていると思う。

これを気休めと言ってしまうと身も蓋もないが、その名言によって不安に押しつぶされずに済むのであれば、それには意味がある。ただ、過度に依存するようではよくないし、それは大成する人間の生き方ではない。この点は自戒が必要かと。

お読み頂き、ありがとうございました。

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