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介護をしている立場で女性蔑視発言を考えると

私は、老母を遠隔介護している。

昨今世を騒がせてきた女性蔑視発言が、会長辞任という状況を招いた。介護者の立場からは、この発言も少し変わって見える。

まず、会長(執筆時)には恐らく全く悪意がなかったこと、推測だがもっと言えばウケると思ってしゃべっていたことは指摘したい。

昔から失言癖があり、舌禍を招いていた。ただ、そういう人は意外とサービス精神が旺盛である。誰かにマウントを取りたいとか、傷つけたいとかの「黒い気持ち」は全くなかっただろう。

だからこそ何も考えずに、無邪気に自分の思いを語ってしまったと思われる。

世代的に「男女七歳にして席を同じゅうせず」と学んだ。そして、性的役割意識を引きずる世の中で人生の過半を過ごした。体に染みついた感覚だから疑うこともなく、息吐くように自然にあの手の発言をしてしまう。

私の母も、女性でありながら「女が前に出ると良いことないよ」的なことを何かの折りに言っていた。「今は違うでしょ」と言っても受容は困難で、最後は「まあ、昔はそういう時代だったの!」で話を打ち切られてしまった。

染みついた感覚を取り除くのは難しく、更に新たな感覚に馴染むのにも時間がかかる。それだけの労力と時間をかけるのも、現実的ではない。お年寄りの感覚を変えられるメソッドが開発されたら、ノーベル賞候補にもなり得ると思う。それは、介護をしてみればわかる。

「古い」→「その通り」。
「今時そんなことを言うなんて」→「ごもっとも」。

是非は明らかである。ただ、デジモノに苦戦する老人に「使えて当然」的な態度は酷だというのに近い感情は湧く。それでも、あの立場の人が公的に言ってはいけないし、言ったからには身を引いてもらうしかない。

昔あった「隠居」制度も、古人の生活の知恵だったのかも知れないことに思い至ると、その叡知に愕然となる。

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