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例え話も世に連れて変わってゆく

今朝は雨が降っていて、残念ながら傘を差して出勤せざるを得ませんでした。でも、帰りには晴れていて、つい傘を持って帰るのを忘れてしまいました。明日持って帰るつもりですが、一晩濡れたまま放置するとちょっと匂うんですよね。天日干ししたいです。

さて、……。

世の中には例え話があふれている。その理由は、何と言っても分かりやすいからだ。

個人的に最古の例え話だと思っているのが仏教の経典である法華経。「このオジさん、何を言っているんだ」と思われるかも知れないのだけど、法華経は例え話だらけである。

「法華七喩」という言葉もある。これはお釈迦様が例え話を用いてわかりやすく衆生を教化した事例にならうものである。例え話でイメージを持ってもらうことで難解な教義も理解しやすくなる効果を狙ったものだと理解している。

このような高尚なものではなくても、私たちは例え話をよく使う。

ずっと時代が下がった江戸時代、忠臣蔵で有名な大石内蔵助は「昼行灯」とあだ名された。行灯(あんどん)は江戸時代の照明器具。竹、木、金属などで作られた枠に和紙を張った風よけの覆いで四方を囲い、その中に火皿を置いて点灯するもの。

昼間の照明器具は、あまり存在意義がない。働いているのか、役に立っているのかがわからないという例えである。

ただ、さすがに今の時代に行灯を使っている人はレアだろう。このことから分かるのは、例えるものが身近にないと聞いた人のイメージが湧かず、伝わらない。そうなるとその例え自体が意味を失い、それを用いた表現を誰も使わなくなってしまう。

そんなことを思ったのは、たまたま「現金な奴だな」という表現を見たから。リアルな現金を用いる機会はコロナ禍を経てかなり減ったとはいえ、あなたもさすがに現金そのものの意味はわかるはず。

でも、「現金な奴」という言葉は、もしかしたら聞いたことがないかも知れないとも思っている。

「現金な」とは、良くも悪くもお金が持ち主の意のままに使われることから「自分の利益を優先してコロコロと態度を変える」ことを指す。もちろん褒め言葉ではない。若干の嫌みや侮蔑を含む言葉でもあるが、からかいの意味を持つこともある。

でも、この表現もクレカ決済やバーコード決済が主流となると、そのままでは残らない気がする。もしかしたら、システム障害等には無縁であることから、最後の切り札のような意味を持たせられる可能性もあるかも知れない。

例え話も世の中の動きに連動して変わってゆくように感じ、面白いと感じている。

お読み頂き、ありがとうございました。

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