憲法記念日と朝ドラ「虎に翼」のヒロインの父・直言の無罪を祝って思うこと
今日は朝からよく晴れました。おかげで涼しかった気温も午後からかなり上昇、鯉のぼりが泳ぐのに相応しい五月晴れとなりましたね。
さて、……。
5月3日は憲法記念日。日本国憲法が交付されたのは1946年のこと。今年は78年目にあたる。
今放送されている朝ドラ「虎に翼」では、その第一回で主人公の寅子が公布された日本国憲法第14条を読むシーンが登場する。今はそこに至るまでのできごとが放送されていて、今日の放送では標題の通り直言は無罪を勝ち取った。ただ、そのことはこの条文とは全く関係がない。
この条文は、華族制度があり男子のみ選挙権を持っていた戦前を知っている当時の人々にとっては、かなり画期的なものとして受け取られたと思っている。
そもそも憲法は、国の最高法規である。憲法が自らそう定めているのだから間違いない。
ここで憲法は、国家が国民の権利を侵害しないよう歯止めをかけるために、国家が守るべき規範を定めたものであることが意外に理解されていない。ぶっちゃけ、国民同士の権利衝突の場合において、憲法が直接適用されることはないのである。
このことは、憲法を尊重擁護する義務を負う者は誰かを見ればより明らかになる。
この条文の中に国民の記載がない。即ち、国民は尊重擁護義務を課されていないのである。
では、国民が憲法に従わなくてもよいのかと思われるかも知れないが、これはそうであるともそうでないとも言える。
内心の自由があるので、今の憲法をおかしいと思うのは自由。憲法を変えようと発言し、運動するのも自由。その点では自由にやってよい。
でも、社会生活を営む上で他者との関係性を無視できない。国民同士で権利がぶつかり合うことはある。その際の解決手段は、基本は個人間の話し合いであるべき。でも、折り合いが付かず裁判となれば国が法律に基づき判断することになる。
法律の解釈を行う際には、最高法規である憲法の趣旨を踏まえることが求められる。裁判官は尊重擁護義務を負っているから当然である。また法律は憲法に合わないと判断されるとその部分において効力を失う。つまり憲法の直接適用はないが、この法解釈を通じ憲法の趣旨が間接的に適用されることになる。
むしろ法律は憲法の趣旨を具体的な形にするために存在し、法律がなければ必要な立法がなされるべきというのが司法のスタンス。例えば男女雇用機会均等法や障害者雇用促進法等はそのような流れに沿うものである。
私企業と私人の間に直接憲法は適用されないからこそ、このような立法を行い雇用のあり方を定めている。だから「お前の主張は憲法違反だ」という言い方は不適切である一方、必要な立法がなされているかに関心を持つことが必要だと考える。
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