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準備万端ととのった完璧な葬儀はない

金曜日の仕事を終えて退社する瞬間が、一番の幸せですねw

さて、……

冠婚葬祭という言葉がある。

冠は元服
婚は婚礼
葬は葬儀
祭は祖先の祭祀

これらをもう少しかみ砕いてみる。

冠は、一義的には大人になること。どんな人でも成人になる時を迎える。また、初節句、七五三、入学式、還暦等人生の節目の行事もこれに属するらしい。

婚は、言うまでもない。結婚して一家をなすことである。

葬は、通夜・葬儀・告別式・法要などである。

祭は、祖先の祭祀と言われてもピンと来ない人が多いと思う。正月、節分、春秋のお彼岸、お盆、等である。意外と夏に神社で茅の輪くぐりをしたことのある人もいると思う。

さて、その一角を占める葬儀であるが、その前の結婚とは異なりリハーサルができない。結婚では、式当日に向けてあれこれプランを練り、スタッフと入念に打ち合わせて何ヶ月も掛けて準備ができる。

しかし、葬儀ではどうか。前もって準備をしていた人はいない。葬儀に慣れていたわけでもなく、慌ただしく会場の人からあれこれ言われるままに動くしかない。

だから、終わった後になって「ああすれば良かった」「あれができなかったのが心残り」との気持ちを抱くことが多い。実際私はそうだった。

そもそも、何ヶ月も掛けて準備とリハーサルをした結婚式ですら、もう少しできることはあったと後になって悔やむ点が出てくる。増して、ドタバタで走りながら考える葬儀が完璧にできるはずなどない。

そのことに気付いたのは、葬儀の段取りを決めなければならない時に、姉と一緒に式場から説明を受けていた時のことだった。あまりの時間のなさに閉口していた私に、姉はこう言った。

「結婚式って、結婚する二人がたっぷり半年程度かけてお互いに相談したり、プロの意見も頂いたりしながら内容の検討を進められるじゃない? しかも、結婚式は大体三時間程度よね。でも、お葬式って決める時間が半日程度しか無いのに、通夜、葬儀、初七日と、ほぼ一日半にわたる行事のすべてを一気に決めるということになっちゃってるでしょ。そりゃあ、時間が無いって感じるのも当然だと思うわよ」

準備期間が全然違うこと、考えなければならない「イベント」の種類も時間も多いことを姉に指摘されて、妙に納得したことを今でも覚えている。

このようなことを、多くの人達が見えないところで経験してきたんだなあと改めて感じた。そして、真の大人になるというのは親が亡くなり自分を見守る人がいなくなることかも知れない、と思った。

お読み頂き、ありがとうございました。

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