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朽ちる一方の実家を清掃した

今日は昨日の冷え込みがかなり緩み、ホッとしました。でも、日は益々短くなっていますね。

さて、……

先日、実家に寄ってきた。母が骨折で入院したのは4年半前、それ以降一人暮らしは困難だと考え姉と相談し、施設に入居している。結果、実家は事実上空き家状態のままである。

その実家に立ち入る際には、正直なところ常に緊張している。中がどのような状態かが分からないからである。 

外観は、パッと見で特に変わったところもない。実際大丈夫だろうとは思うけれど、一歩入って虫がウジャウジャいたらと思うと、相応の覚悟がいる。

そのため、できるだけ夜を避け、明るいうちに入るようにしている。

今回、まず鍵穴の回転が少し悪くなったのを感じた。これは油を差せばよいと考えた。次に玄関に進むと、幸い生き物っぽいものは何も視界には入ってこなかった。少しホッとする。

ここで玄関の上がりかまちに荷物を下ろすと、すぐに外に出て郵便受けの中身を取り出して、改めて玄関に入るのが私の行動パターンになっている。

家の中に戻り、意を決して廊下を進んでゆく。中は雨戸を閉めているため薄暗い。突き当たりのダイニングには格子をはめた窓があり、そこから光が差し込むため、取り敢えずそこまで進む。

そして、窓の鍵を開けて雨戸も開けるのだけど、ここで一苦労がある。雨戸も劣化していて、かなりガタピシ音を立てる。それでも、一階部分の雨戸を開けて光が差し込むとホッとする。そして、風を通す。

その後、おもむろに郵便受けの中身をチェックする。基本的にどうでも良い投げ込みチラシが大半を占めているが、公共料金の使用量通知票や自治体からのダイレクトメールが混ざっており、それらは抜いて取っておく。

部屋の空気がある程度入れ替わったところで、仏壇を開けて水を上げる。そしてローソクを灯して線香に火を点け合掌する。ここまでは、大体いつも同じ行動となる。

ただ今回は、きちんと掃除をしようと考えた。まず、廊下にもテーブルにもカビが生えている。そして先程「生き物っぽいものは何も視界には入ってこなかった」と書いたが、「生き物っぽいものの痕跡」は結構残っている。

クモかダニなのかは不明だが、その吐いた糸が綿みたいになって壁の下側に結構まとわりついている。そして、床や畳の上に黒い点がいくつか落ちている。どう考えても生物の「落とし物」である。

最初に掃除機を掛けて吸えるだけ吸い取り、しかる後にテーブルを拭く。更にお寺の小僧さんのように陸上のスタートの姿勢で廊下をぞうきん掛けすると、結構な運動量になる。そして、ぞうきんが濃緑色に染まってゆく。

和室の畳の上も同様。畳の目に沿って拭いていくと、こちらは廊下よりも緑が鮮やかである。そんなことを言っても、きたないものはきたない。気力を振り絞って拭いていく。

全ての部屋まではとてもやりきれないのだけど、自分の行動範囲は無事に清掃を終えた。足触りも良くなった。ただ、それがどれくらい効果が持続するかは不明である。

確実に家が朽ちてきている。それは間違いない。しかし、母の持ち物なのでどうしようもない。

ただできることをするだけで是非もなし。

お読み頂き、ありがとうございました。

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