わが家の遺産の分け方④
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さて……
想定よりも早く母が老人ホームに入居した今から振り返ると、あの時点で母に実家を渡すのは必然であったと思う反面、それが足かせになっているのも事実。
実家が使われなくなって数年が経つ。母の現状に鑑みて、ホームを出て再び実家で生活する可能性は限りなく低い。
しかし、家の所有者は母で、売却の決定権も母にある。母本人と話をすると、「売るのも仕方ないねえ」との返事はある。
ただ、認知症の傾向が見られるようになり、いざ売却を不動産屋に申し込む、或いは売買契約を締結するという時に、自分がそう言ったことをきれいに忘れ、翻意されるリスクがある。
禁治産宣告や成年後見制度についても調べてみたが、わが家の資産状況だと姉や私による親族後見人ではなく、司法書士、弁護士、社会福祉士等の専門家が後見人になる専門職後見人の選任可能性が高い。
姉も私も、それぞれ何とか生活できている。しかし、家屋は持っているだけで、それなりにお金が掛かる。
固定資産税はもちろん、雑草が繁茂するため、定期的な除草や庭木の剪定の費用も掛かる。また、電気・ガス・水道といった公共料金に加え、家財保険・地震保険等の掛け金に関わる費用も負担となる。
更に、漏電失火等のリスクもある。
これらを考えて、可能であれば売りたいと思っているのだが、ままならない。さりとて、私が相続するようにしていたら、小規模宅地の特例が使えず相続税が高くなるというジレンマが生じていたと思われる。
当時、母はしばらく実家に住むと思っていたので、当時の選択は間違いではなかったはずだが、このような結果となった。
いずれにせよ、何らかの不具合を伴うのである。
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