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010. イケメンが私を見つめていた

朝、職場が入っているオフィスビルのエントランス階に向かうエレベーターの前にイケメンが立っていた。高身長・おしゃれ・清潔感ありで、この人絶対モテるんだろうなという雰囲気を醸し出していた。モテるんだけど長年付き合っている彼女を大切にしています、みたいなイケメンだった。そのイケメンがエレベーターの斜め前に立っていたから、私はあくまでもエレベーターを待つふりをしながら少し遠くからイケメンを眺めていた。出勤の時間帯はなかなかエレベーターが来ないからラッキーだななんて思っていると、そのイケメンが私のほうを向く。私は反射的に顔を逸らしたがイケメンがこちらを見つめる気配を横目で感じていた。今日のファッションは自分的にも気に入っていたので、もしかして私のこと気になってる!?なんて心の中でニヤついているとエレベーターが来た。まずイケメンが乗り込み、その他のモブと一緒に私も乗り込む。どこの会社の人なんだろうと1人でウキウキしていると、最後にエレベーターに乗ってくる人だかり。その中心には頭にアラビアンナイト的なターバンを巻いたスーツのイケおじがいた。その瞬間全てを悟る。イケメンは私のことを見ていたのではなく、私の後ろにいたこのアラビアンナイト的イケおじを見ていたのだと。確かに二度見してしまうビジュアルである。自分の自意識過剰具合に呆れつつエレベーターを降りると、イケメンは私とは違うゲストエントランスの方へ歩いて行った。こんなルッキズムまみれの手記をこれはルッキズムだと自覚しながら書くことで(と、この文章に明記することで)自分を甘やかしている時代錯誤の勘違いアラサー女、それが私である。

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