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解放(開放)記念日
2024年7月13日(土)
終わった。
とうとう終わった。
終わったのだ。
やり切った。
十分満足したし、それ以上でも以下でもダメだった。
今日、こんなにも晴れやかで嬉しい感情になるとは思っていなかった。
施設を出た時、スキップしたいほどだった。
思えば、4年ほど前、母が肩を骨折したのが始まりだった。
それまで1人で暮らしていた母が、介護なしでは生きられなくなった。
手術してリハビリ入院している間に、私には準備の時間があった。
母と一緒に暮らし介護をするか、それとも、施設に入れるか。
今はいい時代になった。
介護義務者が必ずしもつきっきりにならなくてもいい。
私は自問自答を繰り返した。
母のことは苦手だった。彼女は、一言で言えばあまのじゃくで意地悪な性格なのだ。
子供の頃から、嫌いだった。
思春期にはとうとう口をきかなくなった。
しかし、私が18歳で家を飛び出して結婚し、2人の幼子を抱えて、暴力を振るう元夫から逃げ出して実家に戻った時、
私と息子たちを、命懸けで守ってくれたのも母だった。
あまのじゃくも意地悪も、年をとっても直らなかったが、私は、本当は、母と「仲良し」になりたかった。
幼い頃の私が、私の背中を押してくれた。
「お母さんと本当に仲良くなれるチャンスだよ」
私は決断した。
そして、3年半前から母の在宅介護が始まった。
私は昼間の仕事を辞めて、週3回の夜勤のお仕事だけにした。
私が夜勤の日は、息子たちが交代で母の面倒を見てくれた。
30歳手前の男の子がおばあちゃんの介護をするのは、きっととても大変だったと思う。
でも、そのおかげで、在宅介護が可能になった。
母は、パーキンソン病も患っていたので、骨折したのは肩だったが、バランスを崩し、うまく歩けなくなった。
車椅子だ。
パーキンソン病は、徐々に筋肉が衰えて最終的には車椅子になり、弱って亡くなる方が多い。
それから肺炎を発症するまでの3年間は、母とどこへでも出かけた。
私は車が運転できないので、移動は市バスか地下鉄か、観光バスだ。
たまにタクシーも使った。
近くのスーパー銭湯へ行き、大きなお風呂に入って鍋焼きうどんを食べたり、
4月には毎年、お花見にも行った。
富山の館山黒部アルペンルートや、四国を巡る旅にも出かけた。
また、母の実家の徳島へ帰省もしたし、藤井風さんのコンサートにも行った。
母は、風さんのグッズの紫色の大きなバッグを買って、嬉しそうにデイサービスに出かけた。
車椅子ではあるが、食欲もあるし元気だった。
私は、あんなに嫌いだった母と気が合った。自分でもびっくりするくらい、母のことが愛おしく可愛く感じた。
私は、満たされていった。
しかし、3年ほど経った頃、肺炎で倒れた。
病院に救急車で運ばれてそのまま入院となった。
一気に弱ってしまい、寝たきりになったが、なんとか退院できた。
自宅で介護をする自信がなかった私は、サービス付き高齢者住宅に入れることに決めた。
運よく、家から歩いて5分の施設に、2人用の部屋が1ルームだけ空いていた。
すぐに入居を決めて、退院する母を迎え入れた。
しばらくは、誰かが一緒に泊まって母の世話をした。
施設には、ヘルパーさんや看護師さんが常駐していて、サポートもお願いした。
私は、夜勤と母の介護の往復で、家には帰れなくなった。
楽しみだった母との外出ももうできない。
ずっと施設の中で母と一緒に過ごした。
日々のリハビリのおかげで、起きて食事を食べたり、トイレも介助があれば行けるようになった。
トイレは1日10回程度行き、夜中も2〜3回。その度に、起きて介助する。
家族の介助なしで生活できないか、施設の方と話し合いをした。
幸い、とても良心的なスタッフの方々のおかげで、家族なしで母の面倒を見てもらえることになった。
そして、今日、私は施設を出て自宅に帰ってきた。
とても「解放」された気持ちだ。
溜まっていたドラマや映画も見られるし、楽しみにしていたAdoちゃんのBlu-rayも見られる!
以前、これほど気が楽になったのはいつだっただろう?
18歳で家を出た時?
それとも、26歳で元夫から逃げた日?
ブラック企業を辞めたあの日?
息子たちが成人して子育てが終わった時?
そのどれとも、比較にならないほどの「開放感」に今、浸っている。
肉体的にも、そして、精神的にも解き放たれたのだ。
自由だ。とうとう自由になったのだ。
今日は、家で1人でTBSテレビ「音楽の日」を見た。安住紳一郎さんと、中居くんが司会で、8時間の間、たくさんの歌手が歌ったり踊ったりする番組だ。
もう、何も考える必要がない。
自分のためだけに動けばいい。
こんな素晴らしい時間は、本当に久しぶりだ。
私が私のためだけに私が在る。
人は解放されるとこんなにも嬉しいものなのか!
ビールがうまい
ビールがうまい
もう一度言わせてくれ
ビールがうまー〜ーい
Yogiboにどっしり座ることができる
もう、立たなくてもいいんだ
自分のためだけに自分を使えるのだ
この気持ちは、何色だろうか?
赤?青?黄色?それとも、紫?
否!
オレンジ色だ。
私の心は今、オレンジ色で充満している。
私は解放された!
自由なんだ!
嬉しすぎて、興奮しすぎて、とうとう眠れなかった。もうすぐ夜が明ける。
ベランダに出て、朝の空気を胸いっぱいに吸ってみる。
あ、ここからお母さんの居る施設が見えるんだ。
うん、ちょうどいい距離感だ。
❤︎LOVE&MIND&SOUL&MUSIC♬
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