離婚する条件を考える

離婚の協議をするにあたって、相手と折り合いをつける条件はいくつかあります。いろいろ考えて、それでも失敗したりします。自分なりの経験とそのときに得た情報を含めながら、解説してみます。大きくは、子供のこと、財産のことの2つが論点です。

子供の親権と監護権

子供の親権をどちらが持つか、親権と監護権を分けるかどうかが、選択肢となります。「親権をどちらが持つか」の方はイメージしやすいですよね。「親権と監護を分ける」というのはイマイチぴんとこないかもしれませんので、説明しましょう。そもそも親権と監護権って何でしょう?子供に対する親の義務・権利は「親権」と呼ばれ、財産管理権と身上監護権(略して監護権)に分けられます。このうち、子供を育てて面倒をみることを「養育」と呼び、後者の監護権に該当します。親権と監護権を分けるというのは、財産管理権を一方の親が持ち、監護権をもう一方の親が持つことです。具体例としては、子供の財産管理を父親が持ち、監護権を母親が持って子供の養育をするというケースです。

通常、親権と監護権はセットです。離婚裁判になれば、親権と監護権を分けて判決することはないです。しかし、協議離婚の場合には、これを分けることは可能です。海外でもそのような事例はあるようです。

ただし、よほど親同士の教育方針、養育方針が一致していない限り、意見の衝突は避けられないと思いますので、分けることは避けるべきでしょう。私も海外の事例をもとに、一方の親が親権をとり、もう一方の親が監護権をとるということも視野に入れていましたが、結局は分けるという判断には至りませんでした。どう考えても、後々のトラブルの元になります。たとえ、それらの方針が一致していたとしても、親どうしでのコミュニケーションも上手にとれなければなりません。それができているなら、なぜ離婚するのか、ということにもなります。

子供との面会の頻度

そうなると、親のどちらかが親権をとって、子供を養育することになります。もう一方の親は、自分の子供と会うために面会交流権を主張することになります。親権をもつ親が子供に会わせないというケースもありますので。協議の文章に、週1回面会すると書くと確実のようですが、状況もいろいろと変わりますので、あまり具体化してもそれを守れなくなってしまいます。また、10代後半にもなれば、子供が親離れしていくので、子供の意見も尊重されるべきです。いずれにしても、柔軟性をもたせるようにすることが大切でしょう。

例外としては、親から子供へのDV(家庭内暴力)がある場合です。この場合には、面会交流権を認めないようにするということも必要です。このような判断を裁判官などがしていただけるよう、DVの証拠をとっておくことが大切となります。

財産分与

財産は夫婦間の収入差に関係なく、均等に分けるというのが原則です。その意味では、特にもめることはなさそうですが、それでも意見が合わずに問題になりえます。私の場合ももめました。

まず、夫婦の財産は何かをはっきりさせる必要があります。結婚前から保有している財産は「特有財産」といって財産分与の対象にはなりません。結婚時点の記録をとっておくことや、特有財産の銀行口座等と結婚してからの収入を入れる銀行口座等は別にしておくことはこういうときに役に立つでしょう。

しかしながら、多くの場合は明確な情報は得られないでしょうから、ざっくりと判断することになります。言ったもの勝ちになりやすいので、欲深い方が相手の場合には注意してください。多少は譲ってもよいと思っていると、ずるずる行きますよ。

財産分与を行う財産には、銀行口座の他に、不動産、保険、物品、現金などがあります。

不動産の場合は、査定をすることになるでしょう。購入したときの価額とは大きく変化しているからです。不動産屋に行くと、査定を無料でしてくれます。私の場合は、業者に行って1時間ほど話をして、家の中を見てもらって、2~3週間で査定報告書というものを作ってくれました。30ページもあるようなものでした。無料でこんなにしてくれるということに少し申し訳ない気もしましたが、不動産は金額が大きいので、下調べは十分にしてよいでしょう。時間がかかることを気にするなら、まずはネットで査定をしてくれるところを使ってもよいでしょう。すぐに結果を出してくれます。私はHowMaというところを使ってみました。ネットから入力する情報は限られるのですが、皆さんが簡単に使えるということでガチでの価格勝負となるので、金額としては査定報告書を作ってくれたところとほぼ同じでした。ただし、離婚する相手がこの査定額に納得してくれるとは限りません。その場合は、何社から査定をもらう、相手にも査定してもらうなどをして、その平均値を使うとか、あるいは不動産鑑定をしてもらうかでしょう。不動産鑑定は、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づくもので、精緻に資産を評価してくれますが、数十万もお金がかかるというので、私は使いませんでした。

保険については、私は誤解をしました。保険金額、つまり、何かあった時(死亡時など)に、いくらもらえるかの金額を考えるのだと最初思っていました。そうではなかったのです。財産分与するときには、保険を解約したときの金額で財産分与をするのだそうです。確かに、支払い満了している保険もあれば支払いが残る保険もありますし、分かりやすいルールなのだと思います。私の場合は、保険会社に連絡して、いくらの解約金になるかを調べてもらいました。また、子供が大きくなっていたので、必要な保険額も変わっていると考えました。保険金額を減額することも行い、これからの保険料(支払い額)を削減することにしました。離婚後は自分の生活費や家族一人当たりの生活費は増えますし、別居などにかかる費用も発生しますので、少なくできるものは少なくした方がよいと思います。

物品(家財・車など)は、思い入れのある品がありますので、均等に分けるということにはならないと思います。そこで、リストを作って、ざっくりと金額を積み上げて、均等にならない分は他の資産でバランスをとりました。金額は、購入金額としたものと減価償却を考えたものの両方がありました。冷蔵庫や洗濯機のように、家に2台なくて、一人が新しいものを買わなければならない場合は同程度のものを買うのにかかる購入金額としました。他のものは使い古されている分を考慮して、購入費用の〇分の1という感じでした。車や家具などです。このあたりはずいぶんと雑だったと思います。両者が納得できればよいので細かく計算する必要はないと思います。というかリストを作っただけ、まじめにやったとも思いますし、それで相手にとられすぎないように防波堤をはったともいえます。

財産分与は、感情論は一切抜きにして、粛々と見積り額を積み上げていくのがコツだと思います。相手から反論されても、感情的に反論せず、そう考える論拠や金額を出してもらい、機械的にすりあわせていくということです。この意味では、弁護士に入ってもらって調整する方がよさそうですが、上手に交渉して利得が得たと考えられる場合には、その利得の一定割合を弁護士の方に報酬として支払うことになります(通常、そういった契約で離婚裁判などを担当していただくはずです)。この額は、結構大きな額になりえますので、十分に注意してください。

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