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今さらPCR検査を拡大するよりずっと有効な戦略


緊急事態宣言が明けて以降、感染者との濃厚接触歴があるわけでもない無症状の人にPCR検査の対象を拡大している日本。緊急事態宣言前のレベルの数字に増えたまま減ることのない新規感染者数とは裏腹に、今のところ重症者や死者の数は増えていません。

1週間に50万件と世界最大のPCRキャパシティを誇るドイツでも、日本と同じように、症状や行動歴から「医師が必要と判断した人」だけにPCR検査を行うという方式でやってきました。

が、ロックダウン解除後の動きは日本とは逆です。

偽陰性があってどうせ全数把握はできないし、みんなが困っているというのに1件200€もするPCR検査をあんなにたくさんやる必要が本当にあったのか、むしろ日本のように「クラスター対策にしぼってPCR検査を実施すべきではないか」という意見が出ているのです。

ドイツでは大きなクラスターの出たところでは小さな地域でロックダウンにもなりましたが、州単位、ひいては全国で一律のロックダウンを再び行うといった議論はありません。クラスターが出て一時期は3近くになった実効生産数も、そうこうしているうちに再び1を下回りました。

ドイツでは原則、屋外では、それから学校でもマスクはしてません。店やレストランの入り口にアルコール消毒剤は置いてありますが、使っている人をほとんど見たことがありません。混雑しているビーチなどの報道もありますが、別にそこからクラスターが出ているという報告もなく、今のところ人の移動はどんどん自由にする方向で進めています。唯一まじめにやっているのは「人との距離をとること(Abstand)」でしょうか。

7月13日、ドイツの感染研にあたるロベルト・コッホ研究所が全国29の地域で11.695 を対象に 行った(予定実施件数の20%)調査の結果、抗体をもっている成人の割合と、そのうち実際にウイルスを認識して増殖を抑えるなどの反応(中和反応)を示した成人の割合を発表しました。

実は日本でも、たまたま2日後の15日に似たような調査の結果が発表されたのですが、ドイツの結果とは全く違っていました。

正直、わたしはその違いにとても驚きました。

また、ただ検査をやりっぱなしにする日本とは異なり、ドイツがその結果をもってこれから取ることに決めた対策にも唸りました。

そこで、今日は記事を書くことにしたのです。

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