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文系女医の書いて、思うこと【スタンダード】

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2022年10月の記事一覧

海外の性教育のいまー性の「抑圧」と「解放」の間で

日本では、オープンで実践的な姿勢が評価されることの多い海外の性教育。しかし、オープンかつ具体的に性を教える「解放的性教育」が、いまドイツの性教育をめぐる議論の中で再び大きな注目を浴びています。 2003年まで続いていた「実験」きっかけは2016年、ゲッティンゲン大学デモクラシー研究センターの研究者、テレサ・ネントヴィヒが教授資格論文執筆のために調査した、ヘルムート・ケントラーの生涯と「ケントラー実験」について書いた報告書でした。 ケントラーは、解放的性教育を提唱したドイツ

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「オープンな性教育」は本当にベストなのか?~解放的性教育の余波~

日本では「避妊を教えること」と即物的に捉えられている性教育は、ドイツではさまざまな社会問題と絡めて、常に神経質に見直されているテーマです。 日本では「海外の性教育」と言うと、オープンで具体的な姿勢を賞賛するものが目立ちますが、少なくともドイツでは、オープンで具体的な性教育が必ずしも評価されている訳ではありません。 新左翼による「子どもの性解放」ドイツの性教育は、日本の比ではなくこじれています。 ドイツの性教育も、家父長的な家族観から「女性の性を解放する」というウーマンリ

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まるで同窓会報?大宅壮一ノンフィクション賞作品『彼は早稲田で死んだ』

早稲田大学第一文学部の学生が学生運動の内ゲバで殺害されたという1972年の事件を題材にした、第53回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作「彼は早稲田で死んだ」が、代島治彦さんや鴻上尚史さんの協力で映画化されると聞いた。 わたしたちの年代にとって学生運動は、なぜそんなに盛り上がっていたのかがいまひとつピンとこない、でも、そんなにも情熱をかけるものがあったとは当時の学生が少し羨ましい、と言った感じのぼんやりした存在だ。 同書のアマゾン・レビューを見ると、筆者と同時代に生きた人たち

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化石を採る

ドイツには自然保護に関する厳しいルールがあり、魚1匹釣るにも、蝶1匹を捕まえるにも許可が必要です。川に行っても森に行っても、自然の中で採っていいものは石くらいしかなくて、そのせいか子どもも大人も石や化石を集めている人が多くいます。 ドイツの南、ニュルンベルクとミュンヘンの間に、「古い水車」を意味するアルトミュール川が流れています。一見、どこにでもあるドイツの田舎ですが、この川の流域は世界有数の化石の産地。世界で初めて始祖鳥の化石が発見されたのもここです。 化石の産地といっ

来年から9価HPVワクチンが定期接種に

早ければ来年の4月にも、9価の子宮頸がんワクチンが定期接種として無料接種できることになりました。これで日本の女性もやっと世界標準のがん予防を手に入れたことになります。 これまでは日本の女性だけが4価ワクチンという予防効果の限られたワクチンを定期接種していました。このワクチンを使うと理論上、日本で起きている子宮頸がんの9割以上を予防することができます。 各社の速報は以下のとおりです。 NHKは副反応について、「HPVワクチンは、2013年に定期接種になったあと、体の痛みな

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「子宮頸がんワクチンの1回接種」について、知ってほしい具体的なこと

先日、秋田県由利本荘医師会、由利本荘市、にかほ市民の共催の市民講座での講演しました。 秋田県にかほ市は、子宮頸がん(HPV)ワクチンの定期接種とキャッチアップを9価ワクチンで接種したいという人に対し、費用を全額補助している、全国唯一の自治体です。私が把握している限りでは、定期接種費用の一部を補助している自治体は他でも全国で2,3あるようですが、定期とキャッチアップの両方を全額補助しているのは、にかほ市しかありません。 にかほ市の女の子たちが羨ましいですよね! 今年4月、

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