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文系女医の書いて、思うこと【スタンダード】

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2020年9月の記事一覧

首都コペンハーゲンが新型コロナ危険地域になったデンマークに行ってきた

新型コロナパンデミック以降はじめての海外旅行に出かけた。と言っても、週末、車で2時間も走れば国境につくデンマークにフィヨルドを見にいくためだ。 北ドイツの人たちにとって、デンマーク旅行は特別なものではない。国境を超えて通勤している人もいるし、週末に日帰りや1泊で遊びに行くのも普通だ。ところが、新型コロナのため少し前までのデンマークは、越境通勤の許可証を持っている人やデンマークにサマーハウスを所有する人以外の外国人のやんごとなき理由のない旅行は原則禁止していた。日帰り旅行のつ

「4連休の10日後くらいから再流行する」という予測(予言)について

夏休みを終えたヨーロッパにおける新型コロナ再拡大のニュースが、日本のメディアを賑わせている。新型コロナ前並の人出に戻ったという4連休を終えた日本でも「10日もすればまた新規感染者が増えてくる」として流行の再拡大を警戒する声も高い。 しかしわたしは、日本もヨーロッパも「警戒しつつ静観」でよいという立場にある。 その理由を説明したいと思う。

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アビガン最大の問題は催奇形性という誤解

アビガンが新型コロナの治療薬としての治験を終え、承認申請を行うというニュースが出ています。新型コロナはほとんどの人で軽症もしくは無症状で終わる病気です。一方で、一部の人で重症化し、命を奪う病気です。必要なのは重症者に使用した際、安全かつ効果のある治療薬です。治療の必要のない人に決められた量を投与したときに安全だというだけだけでなく「必要な人に対して必要な効果を得られるまで用量をあげても」安全な薬です。 アビガンを「インフルエンザ治療薬」「抗インフルエンザ薬」などと表現してい

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「今年のインフルエンザワクチンは高齢者優先」は正解なのか

【2020年10月20日 2019年/2020年のインフルエンザ―シーズンのデータを用い、インフルエンザと新型コロナに重複感染した際のリスクについて解析した論文について追記しました】 日本では65歳以上の高齢者を優先させ、医療従事者・子ども・妊婦は後回しにすることが要請されたインフルエンザワクチンですが、9月16日、9月もまだ半ばというのにインフルエンザワクチンを接種しました。写真にある"Grippe Impfung”というのがインフルエンザワクチンです。 接種してくれた

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「マスク着用率100%」のデモ

1000人くらいはいたと思います。資本主義やレイシズムに反対する左翼デモ。 「コロナの被害者の補償は金持ちがしろ!」 警察官も100人以上はいて、参加者のほとんどは若者でした。 写真を拡大して確認してみてください。わたしが見た限りでは、ひとり残らず全員がマスクをしてました。 ドイツ人の決められたルールを守る、律儀なところは好きです。もちろん、反コロナデモは別ですが、こういう光景はアメリカではあまり見られないのではないでしょうか。 横断幕の中には、2000人強の巨大な

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新型コロナの空気感染を認められなかったCDC

この記事は、新型コロナの治療薬として期待されているアビガンについての連載「アビガンの光と影」の一部です。オバマ元大統領が2014年、西アフリカにおけるエボラ出血熱大流行の際、トランプ氏の新型コロナへの対応と比較してどのようにふるまったのか当時の演説を具体的に見ながら振り返るとともに、アメリカCDCが新型コロナの感染経路について、二転三転評価を変えている政治的社会的背景についても解説します。オバマ氏の副大統領としてバイデン氏が次期大統領にほぼ確定した今日、改めてご覧ください。

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米国防総省からアビガンに巨額助成金の怪

オバマ政権化のアメリカ国防総省から巨額助成金を得ることになったアビガン。感染症に対するトランプ氏とオバマ氏の考え方、対策は具体的に何がどう違ったのか。2020年、新型コロナに苦しむ今の世界とアメリカに、どのような影響を与えているのか。「アメリカが発掘した「富山県」のアビガン」から続けてどうぞ! アメリカ政府のアビガン獲得へ向けた動きがよりあからさまな形になったのは、今から8年前、2012年のことだった。米国防総省はこの年、フィールドにいる軍人を自然の、もしくは人工的に作られ

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新型コロナ、無症状と重症者の感染力は変わらない

米コロンビア大学の微生物学者ビンセント・ラカニエロ氏が主宰するアメリカのポッドキャスト番組に、EU新型コロナ対策会議の議長でベルリン・シャリテ大学病院ウイルスセンター長のクリスティアン・ドロステン氏が、新型コロナをめぐる数々の質問に答えました。一緒に聞き役を務めるフロリダ州立大学名誉教授で微生物学者のリチャード・コンディットも交えた軽妙なやり取りも楽しい放送抄訳の最終回! 「日本でもこんな番組があったらいいのに」と思わせる、最新の科学的データに基づいた分かりやすいインタビュ

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なぜ子どものコロナは軽いのか?

ウイルス学者でEUの新型コロナ対策会議の委員長、ベルリン・シャリテ大学病院のクリスティアン・ドロステン教授が9月3日、アメリカのポッドキャスト番組で、最新のデータを踏まえ、新型コロナをめぐる数々の難しい質問に答えました。前回記事「子どもは新型コロナを広げるのか?」に引き続き、日本語の抄訳をお届けします。 Q ドイツには抗体保有率に関するデータはないのか? Q 今のところ感染者が少ないのはいいニュースだ。しかし、このウイルスはそう簡単にいなくならない。ワクチンが無い状況の中、

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子どもは新型コロナを広げるのか?

ウイルス学者でEUの新型コロナ対策会議の委員長、ベルリン・シャリテ大学病院のクリスティアン・ドロステン教授が9月3日、2時間にわたるアメリカのポッドキャスト番組で、表題の「子どもは新型コロナを広げるのか?」という問いをはじめとする、新型コロナをめぐる数々の難しい質問に答えました。聞き手であるアメリカ人専門家からの質問も非常に的確で、とても情報量の多い、有用なインタビューとなっています。日本語の抄訳をお届けします。 Q ドイツは今どのような状態なのか? Q ドイツにおける学校

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新型コロナワクチンの治験と「白い羽根」

この記事はタイトルに「新型コロナワクチン」と入っていますが、ふつうのエッセイです。定期購読者のみお読みいただき、コメントもしていただけます。noteをオンラインサロンのように使えないかと思って書いてみました。

アメリカが発掘した「富山県」のアビガン

新型コロナウイルス感染症拡大で注目を集めた、富士フイルムの経口薬「アビガン」。アビガンの歴史は、2009年の新型インフルエンザ、2014年のエボラ出血熱、そして2020年の新型コロナと、パンデミックの現代史と共にあると言っても過言ではありません。  わたしは西アフリカでエボラ出血熱がアウトブレイクした2014年からアビガンの動きを追い、富士フイルムの関係者やアビガンを扱う研究者にも取材を行なってきました。また、私が現在働いているドイツにあるベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所は

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