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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」はわたしが書くすべての記事を読みたいという方、定期購読で応援してくださる方向けです。執筆の舞台裏エピソードや医療関係者向けの特… もっと読む
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#コロナ

WHOはコロナ下でも使用推奨を継続、ハンドドライヤーの正しい恐れ方

日本では、新型コロナパンデミックを機にトイレのハンド・ドライヤーのほとんど使われなくなりました。 「洗い残ったウイルスをまき散らす」という話がメディアで拡散し、2020年5月には国の専門家委員会も、新型コロナウイルス対策としてハンドドライヤーの使用を止めるよう提言したからです。 トイレですることまで推奨を出した日本ワクチンも治療薬も無く、医薬品以外の方法でやれることをすべてやらならなかった時期ではありますが、パンデミックに際し、国がトイレに関するこんなにも細かい推奨を出し

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「異例」でもない?RSウイルスの夏流行

国立感染症研究所の報告によれば、今年はヘルパンギーナやRSウイルス(RSV)などが子どもたちの間で異例の流行を見せています。これを新型コロナウイルスが感染症法上の5類に引き下げられたのに伴い、マスクを外す人が増えたせいだとする声もありますが、7月12日の記事では、必ずしもそれが理由とは言えないという話を書きました。 実際のところ、突発性発疹など例年より減っている子どもの感染症もあります。また、RSウイルスが夏にも流行するようになったのは、新型コロナパンデミック以前からの話で

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ヘルパンギーナの異例の流行は「マスク緩和」のせいなのか

日本では、ヘルパンギーナが大流行しています。国立感染症研究所によると、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は、7月2日までの1週間で合わせて2万360人で、1医療機関当たり6.48人。これは過去10年で最も多かった前の週をさらに上回っているそうです。 同じく国立感染症研究所によれば、日本ではヘルパンギーナは、毎年5 月頃から増加し始め、7月頃にかけてピーク を形成。8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなります。また

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ハイブリッドなのにまたコロナ?

約3年ぶりの刊行となる著書が校了するあたりから、体調のすっきりとしない日々が続いていました。 新しい本のことは改めて書きますが、こちら『新しい自由論』という本です。下のリンクから予約もできますので、ぜひ覗いてみて下さい。 熱なし、咳なし、コロナ陰性さて、わたしの体調ですが、熱はありません。咳もありません。 薬局で買ってきた、コロナの抗原検査の結果も陰性です。 それなのに、気温は20度だというのにセーターを重ね着しても寒気が収まらず、運動をしたわけでもないのに歩くと太もも

また年2回打つの?日本の新型コロナワクチン接種計画への少しだけ違和感

一時帰国しています。話には聞いていましたが、本当にまだ誰でもどこでもマスクをしていることにも驚きますが、高齢者だけでなく、感染歴のある若い人にも4回、5回とワクチンを接種しているが多いことに驚きます。良くも悪くも、日本人は本当にまじめにコロナ対策を続けていることを改めて実感します。 EUでは若い世代の4回目の接種は推奨されていません。マスク着用も「以前ほどの意義はない」として、ほぼすべての国のほぼすべての場面で着用義務がなくなっています。 「効果や必要性のなくなったことは

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講演会「ポストコロナ社会へのヒント」のお知らせ

2月22日19時半~、守れる命を守る会、千葉県保険医協会の共催によるウェブ併用講演会で登壇します。 両会の会員の皆さんのご参加は無料です。(申し込みが必要です) 千葉県保険医協会の会員にすぐなるのは難しいですが、守れる命を守る会はすぐに会員になれます。 よかったら入会して、明日の講演から聞いて下さい。 https://www.mamoreruinochi.com/top/membership/ 講演会の参加申し込みは、下のポスターのQRコードからお願いします。 no

インフルエンザ以下になった新型コロナの致死率

2023年2月11日現在、世界人口の70%超、アフリカを除いた地域でみれば80%以上が最低1回の新型コロナウイルスワクチンを接種しています。 接種したワクチンや接種率は国によって異なります。医療体制や医療水準、医療アクセスも国によって異なります。ウイルス自体が変異し、かつ多くの国では症状があってもいちいちコロナかどうかを検査しなくもなっている現在、新型コロナウイルスによる死亡の絶対リスクを評価することは困難となっています。 そんな中、新型コロナウイルスの致死率を表す数字(

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日本人は気づいてない、日本人のマスク姿が「特別」な理由

2022年のワールドカップは、新型コロナパンデミック開始以降、本格的に観客を入れる初めての国際的スポーツイベントとなった。 収容人数6万人というスタジアムの観客の9割方がノーマスクの中、テレビでは、浴衣にマスク姿でスタジアム観戦する日本人サポーターや、東京の街角をマスク姿で叫びながら勝利を喜ぶ日本人の様子が報道された。 もっともスタジアム感染する日本人サポーターも、2戦目となるスペイン製以降はほとんどマスクを外していた。しかし、日本では屋外でスクリーン観戦する人たちの間で

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サル痘やデング熱など今までとは違う動きをしている感染症のリスクの見極め方

パンデミックのせいなのでしょうか。 アフリカの外でのサル痘の報告、小児の原因不明肝炎の増加,、東南アジアではデング熱の大流行など、今年は他のウイルスが今までとは違う動きをしています。 以前から存在しているけれども今までとは別の動きをしているウイルスや細菌のことを「再興感染症」といいます。今まで人間には認識されていなかったウイルスや細菌のことは「新興感染症」といいます。たとえば1983年にはじめて分離されたHIVエイズウイルスも当時の新興感染症でした。 わたしは以前WHO

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日本式!検疫「デジタル化」の衝撃

1年半ぶりに日本に帰ってきた。新型コロナウイルス流行に伴う日本への入国制限が緩和されたからだ。 「鎖国」とも揶揄される日本の厳しい入国制限は、岸田政権が「全世界からの入国禁止」というエキセントリックな宣言をして世界の注目を集めたオミクロン株以降のものだと思っている人も多いかもしれない。 しかし、入国の翌日から2週間という長い隔離期間は2020年の秋に定められたもので、ワクチンが普及しても国内でウイルスが蔓延しても長らく変わることはなかった。日本政府が流行国と定める国は世界

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今こそ「感染症法」を読んでみよう

日本でもコロナが落ち着きつつある今こそ、感染症法を読んでみませんか? 日本には、新型コロナ対策に大きくかかわる法律が2つあります 1つは感染症法、もう1つは予防接種法です。明治期にその基礎がつくられ、1990年代の改正で現在の形になったこの2つの法が、日本の新型コロナ対策のネックとなっていることはあまり知られていません。 一般の市民にとって「感染症法」、正式には「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」は、「新型コロナウイルスを5類感染症扱いに!」などと言

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「難民列車」の7時間

プラハ中央駅のホームからベルリン往きの電車に乗ると、デッキに何人かが座りこんでいて、ずいぶんと混んでいるようだった。苦労して中に入ると、指定していた席に5歳くらいの男の子を抱いた若い男性が座っていた。 「すみません、この席を指定しているんですが」 英語もドイツ語も通じない。 男の子の父親かと思ったが、よく見ると顔にはあどけなさが残っている。15歳くらいだろうか。横の4人がけにいた金歯の目立つ高齢の女性が何かを捲し立てるように言うと、少年は子どもを連れ、表情ひとつ変えずに

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