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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

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#中国

「パンデミック条約」の現在地

WHO加盟国は4月29日、「パンデミック条約」の最終文言をめぐる話し合いを再開する。5月27日から始まるWHOの第77回年次総会での採択を目指してのことだ。 パンデミック条約とは、世界がパンデミック再発を抑止に努め、次にパンデミックが起きた際に収束に向けて平等にワクチンに配分できるよう協力するための枠組みだ。 条約はワクチン義務とは全くの無関係13日、東京では「ワクチンが任意である日本の主権を無視して、接種を強要するWHOに強く抗議する」「健康を人質にしたWHOの横暴を許

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2019年10月、在武漢アメリカ領事館は武漢の異変をキャッチしていた

新型コロナの「第1号患者」の公式発生日は2019年12月1日だ。 2020年1月24日、中国の研究グループが専門誌の最高権威「ランセット」に発表した論文によれば、新型コロナによる最初の患者が確認にされたのは2019年12月8日で、その患者が症状を示したのは12月1日である。国際保健の最高権威であり、医療保健関連の国際統計のオーソライズ機関であるWHO(世界保健機関)も中国政府から同じ報告を受けている。 だから「第1号患者」の公式発生日は12月1日だ。 しかし、同論文と中

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「新型コロナ武漢ウイルス研究所漏出説」は陰謀論か合理的な告発か?【解説編】

前回のnoteで翻訳を公開した、英国人科学ジャーナリスト、ジョン・ウェイド氏の長文記事「新型コロナウイルスの起源:武漢でパンドラの箱を開けたのはヒトなのか自然なのか?」。翻訳や原文を読まれた皆さんのご感想はいかがでしたでしょうか。 湧き上がっては消え、消えては湧き上がる、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所(WIV)への疑惑――。世界の科学者は遺伝子解析の結果などを根拠に研究所漏洩説を陰謀論として強く否定してきましたが、同記事はそれに対し真っ向からチャレンジする内容です。

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WHOによるウイルスの起原の調査報告書【解説編】

「WHOによるウイルスの起原の調査報告書」を理解するための決定版記事。フィリピンのマニラにあるWHO西太平洋事務局に勤務していた頃の個人的な経験も踏まえ、現時点での評価を総括する記事を書きました。WHOは今回、中国に対して面白い駆け引きに成功したと思います。新型コロナウイルスの具体的な起原はこれが功を奏し、時間がかかっても必ずや見つかることでしょう。 3月30日に発表された「WHOによるウイルスの起原の調査」は120頁と部厚で、巨大官僚組織のWHOらしく無駄な文章や表現も多

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WHOは科学的で政治的中立な機関なのか

2021年2月18日、米バイデン政権はWHOに対し、新たに2億ドルを拠出すると発表した。これをトランプ政権からの方向転換として歓迎する声もあったたが、中国政府は昨年5月、WHO総会の最終日に2年間で20億ドルを追加拠出すると表明している。筆者は「アメリカの拠出金は何と少額なのか」と、冷めた思いで報道を眺めていた。 「中国のあやつり人形」の批判

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WHO「ウイルスの起源の調査」武漢会見後のアメリカの動き

WHO専門家チーム代表のPeter Ben Embarekが武漢滞在の最終日、WSJ(米「ウオールストリートジャーナル」紙)に対し、「2009年10月以前から新型コロナの患者が発生していた可能性があった」コメントしたのをきかっけに英米メディアが他の専門家にも取材し、類似コメントを取った追加報道がたくさん出ている。一方、アメリカ政府は興味深い動きを見せている。

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日本の新型コロナワクチンの実力

 新型コロナがパンデミックを起こし、世界がワクチンの開発にしのぎを削っています。ニュースでは、毎日のように欧米や中国のメーカーのワクチンの話を耳にしますが、日本でワクチンと言えば、テレビでもおなじみの大阪大学の森下竜一教授のグループが開発するワクチンの話ばかり。実際、臨床試験に入っている国産ワクチンはこのワクチンだけです。  新型コロナパンデミック元年のいま、日本のワクチン業界はどうなっているのか。日本のワクチン開発の「実力」はいかなるものなのか――。  毎日、聞こえてきては

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トランプ氏のWHO脱退表明

トランプ大統領がWHO脱退の意向を表明したのは、5月29日金曜日、現地時間の午後3時、欧州時間の夜のことだった。 ホワイトハウスのローズガーデンで、記者たちを前にトランプ氏は、「今日は中国との関係とアメリカの安全と繁栄を守るための新しい方法について話したいと思う」と話し始めた。

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「新型コロナ発生源の公正で独立した検証」を議決したWHO総会

2020年5月、史上初めてとなる、オンラインでのWHO年次総会が開催された。初日の18日には、議長国の首脳が演説を行ない、新型コロナウイルス問題に対する各国のスタンスを明らかにした。 最初に演説をしたのは、中国の習近平氏だった。

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中国人民解放軍が開発するワクチン

パンデミック下ではどの国でもそうだが、中国における新型コロナワクチン開発は、国を守り、かつ繁栄させるための「国家事業」としての意味合いが殊更に強い。 天津に本社のあるカンシノ・バイオロジクスと北京バイオテクノロジー研究所のウイルスベクタ―ワクチンは、「中国人民解放軍」、すなわち、中国共産党が指導する中華人民共和国の軍隊がもつ「軍事科学院軍事医学研究院」との共同開発を進めるワクチンだ。

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WHOの「噂の監視」システムを使って新型コロナ発生の噂を検証した結果

昨日、6月12日に北京の市場で発生したという新型コロナのクラスターについて、北京市幹部は「非常に厳しい」と述べ、20万人を検査することが発表されました。これまで中国についての情報と言えば、中国当局の発表をもとにしたものばかりでした。メディアの報道もそうです。しかし、流行をキャッチする方法は他にはないのでしょうか。当局発表に先行して流行を把握するためにWHOが行っている作業に「噂の監視」があります。前回記事「AIを駆使した噂の監視」ではこの噂の監視の概要を紹介しましたが、今回は

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WHOが中国に許した26日間のリード

「WHO抜きでパンデミックは終わるのか」 ①テドロス事務局長とWHO改革 ②アメリカCDCとは何者なのか の続きです。 手薄になっていた中国での諜報活動 トランプ政権での度重なる感染症関連予算の削減に加え、2014年にオバマ政権下で起きた西アフリカでのエボラ出血熱流行時についた緊急予算が底をついた2019年9月、つまり新型コロナウイルスが出現する直前までに、CDCは海外での活動拠点を49か国から10か国にまで削減していた。 拠点を引き上げた国には中国も含まれており、ロイ

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2月24日 WHO専門家チーム+中国政府の会見

2月24日、現地視察から帰ったWHOの専門家チーム+中国COVID-19対策チームの記者会見 @プレジデンシャルホテル北京。中国を礼賛を強いられているかのようにも、中国の行った介入に度肝を抜かれているようにも聞こえるWHO専門家チーム代表、ブルース・アワーにも注目。(フル音源あり)

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2月17日のWHOブリーフィング

今日の会見も重要。新型コロナの重症度をめぐる具体的な数字が示され、クルーズ船ダイヤモンドプリンセスについても言及。パンデミックかどうかの評価、中国の透明性や言論弾圧についてのWHOの見解も興味深い。日本のメディアにはほとんど出ない情報です。

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