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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」はわたしが書くすべての記事を読みたいという方、定期購読で応援してくださる方向けです。執筆の舞台裏エピソードや医療関係者向けの特… もっと読む
内容の詰まった記事を更新していきます。「文系女医の書いて、思うこと。【スタンダード】」とだいたい同… もっと詳しく
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2020年12月の記事一覧

渚の生と死

11月22日、宮古島出身のライター、宮国優子さんが亡くなった。49歳。 親しい友人だった。 ただでさえ明るい気持ちになれない2020年の年末、亡くなった人の話を書くのは申し訳ない気もする。でも、たくさんの人が亡くなり、死がただの数字になってしまった年にこそ、ひとりの死について書き留めるのも意味のあることのような気がして、わたしが書いていいのかも分からないけれど書くことにした。 宮国優子の名にあまり馴染みがないという読者の方のために説明しておくと、優子さん(こう私は呼んでい

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トランプ氏に投与され大統領選直前に承認された、ライバル薬「レムデシビル」

2020年4月1日、米製薬関連メディア「Fierce Pharma」から、ホワイトハウスが米国食品医薬品局(FDA)に対し、アビガンを緊急承認するようプレッシャーをかけているというニュースが出た。日本では注目されることのなかったニュースだが、筆者は格別の興味を持ってこの記事を読んだ。 ホワイトハウスがアメリカ発のレムデシビルを推しているというのであれば分かる。なぜ、日本の富山県発のアビガンだったのか。 いわば「産みの子よりも育ての子」という話だったのだろう。 ホワイトハ

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パンデミック元年のクリスマスイブ

ドイツに来て驚いたのは、クリスマスツリーには本物のキャンドルを灯すことができること。蜜蝋でできた黄色いキャンドルは、ほんのり甘くていい香りがします。 今日のドイツの死者は800人超、感染者3万人超。それでもキャスターバッグを持って駅に向かう人やトランクに荷物を詰め込んで車を走らせる人を朝からたくさん見かけました。 日本もきょうは1日の新規感染者が3500人超と最高を記録。 どうか健やかな年末年始が訪れますように。

コロナで分かった、医者が頑張るほど崩壊する日本の医療

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アビガンを上げて、落としたのは誰か

明日12月21日、承認審査の結果が発表されるというアビガン。期待の国産薬ともてはやされ、安全性の不確かな薬と貶められることになったのはなぜか。あるテレビ番組へ出演した際、画面の外で私に向かい「アビガンさえあれば」と言葉を詰まらせた、ある芸能人の方の思い出と共にふり返ります。 わが国で新型コロナ流行が本格的な始めた3月から4月当初、アビガンを推していたのは日本の医学界である。それをメディアが取り上げ、国民も「そうであれば」と期待を募らせ、日本政府も全面的に支援を行うとの姿勢を

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ドイツでは「79歳持病あり」も開業医も接種は後回しの新型コロナワクチン。日本は?

米ファイザーと独ビオンテックのワクチンが欧州でも12月29日にも承認される見込みだ。クリスマス前の23日という報道もある。 そんな中ドイツでは、新型コロナ流行で使われなくなった巨大イベントホールなどを整備し、接種者と接種者の距離を十分に保ちながワクチンを接種できるワクチンセンター、全国約400か所の開設を急ピッチで進めている。 わが家の近所にある「ハンブルク見本市(メッセ)」もそんなワクチンセンターのひとつだ。メッセでは1日に7000人の接種が可能だと言う。

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2020年マドックス賞はアンソニー・ファウチ氏ほか新型コロナをめぐる政治決断に影響を与えた2人に

2020年12月14日、科学誌「ネイチャー」と英慈善団体「センス・アバウト・サイエンス」が主催するジョン・マドックス賞が、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長と南アフリカの公衆衛生学者、サリム・アブドウル・カリム氏に与えられた。アフリカにおける新興感染症として発生したHIVエイズにはじまり新型コロナまで、感染症の問題について科学に基づいた発言を続け、政治決断に影響を与えたという功績を評しての授賞だ。 ジョン・マドックス賞はノーベル医学生理学

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新型コロナ対策の優等生から転落、再びロックダウンのドイツ

こちらの記事は定期購読マガジン【文系女医の書いて、思うこと。(プロフェッショナル)】の購読者の皆さんだけにお読みいただける記事です。コメント欄を設けているので、よかったらコメントしてください。 「ドイツでは1日の新規死者数はパンデミック始まって以来最高の590人を記録し、メルケル首相は、感情あらわに危機を訴えました」 12月9日、こんなニュースが流れた。 「クリスマス前の1週間は人との接触をできるだけ避け、今年のクリスマスを祖父母との最後のクリスマスにしないでください」

新型コロナを防ぐ「訓練されていない免疫」

最近、日本のメディアで特に耳にするようになった言葉のひとつに「訓練免疫」という言葉があります。ワクチン接種等により、日ごろから免疫が活性化され訓練されていると、新型コロナのような新しいウイルスに出会ったときでも免疫がすぐに働いてくれるという考えです。 そのため「結核の予防ワクチンであるBCGを接種している日本人は新型コロナにかかりにくい」とか「風邪のコロナにかかったことのある人は新型コロナが軽い」とか「インフルエンザワクチンを受ければ新型コロナに対する免疫力も上がる」といっ

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「子宮頸がんワクチンが子宮頸がんを防ぐ」という当たり前のデータの大切さ

12月4日、子宮頸がん(HPV)ワクチンが男子にも適応となることが決まりました。子宮頸がんワクチンの男子への接種は、世界100カ国以上で認められ、定期接種になっている国も先進国を中心に40カ国ほどあります。 男子の子宮頸がんワクチン接種は、肛門がんや中咽頭がんなど男性に多いがんから男性を守るとともに、女性を子宮頸がんから守るためにも有効です。これで日本でもやっと、9歳以上であれば男子でも子宮頸がんワクチンを堂々と接種できるようになり、万が一の副反応が生じた際にも救済の対象と

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いま布マスクを着けている人たちへ勧めること

財布、携帯、鍵に…マスク。わたしたちの外出時のチェックリストには、いま「マスク」が存在する。 世界が新型コロナ予防策としてのマスクに目を向けたのは意外と遅く、WHO(世界保健機関)による「パンデミック宣言」から2か月の過ぎた2020年3月27日のことだ。米科学誌「サイエンス」が1月から申し込んでいたという取材に、中国CDCの所長でウイルス学者のジョージ・ガオ(高福)氏が回答し、「アメリカとヨーロッパにおける最大の失敗は、マスクを着用していないことだ」と発言したことがきかっけ

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