猫と猫④

かぶきは野良で拾ったので、狩猟本能がしっかりありました。りこもそうでしたがときどき窓の外を見ているので、逃げないよう首輪と紐をつけ家から2m範囲だけ外にいられるようにしたところ、あるときかぶきが口から羽を生やしていました。よく見るとそれは、トンボ。たぶんギンヤンマみたいな。口から落とさなかったので、かぶきごと外に出しました。また室内に戻ってきたのを見たら、やはりまた羽を生やしていました…アゲハだ!それはやめろ!お供えのつもりで持ってきたのだとは思うけど…以後も雀を見てもカラスを見ても口からカカカカカと威嚇音を出して捕まえたそうにしていました。お前の体格じゃ無理だから!

かぶきは化け猫じゃないかと思った時期があります。ポテトチップスを食べていると私の顔まで顔を近づけます。ポテチの油と塩が目的。塩は腎臓に負担がかかるものの、これだけ顔を近づけられると…なのでポテチは3cm四方を2枚までと決めて、揚げ餅もかけらだけ。一度、水飲んでいるかと思ったら床に置いた中華鍋の油を嘗めていた。ぎゃーーーーー化け猫だぁぁぁぁ!慌ててかぶきを抱え鍋をガス台に避難させ、説教した。もちろん猫という生き物はそんなことは「何か同居人の様子がいつもと違う」くらいにしか思っていない。

夜中に隣で元配偶者がうんうん唸って眠っている。突然うわぁ!と叫んだのでどした!と尋ねたら
「なんか夢見て…胸が苦しくて…目覚めたらかぶきが…」
かぶきは元配偶者の胸の上でべろーんと被さっていました。元配偶者から見て頭は左尻尾は左。プロレスか?って感じの押さえ込み。叫んだ直後のかぶきは「ん?何?」と意に介することない表情。

1泊の出張なら、朝に缶詰をあげて、あとはいつでも食べられるカリカリと水を多めに置いておけば問題なくすごせます。トイレは1匹につき2個、2匹だったら2~3個あると安心。室内の広さにもよるけれど、我が家は2階建なので1個ずつ。2泊の出張だと心許ないため実家にお預け。あるとき玄関を開けっぱなしにしてしまい、かぶきがびょーんと飛び出したようで、母は必死になって探しました。数十分後探し疲れて家に入ったら、母の布団に潜り込んでいたそう。室内飼いが基本の猫は外の世界は憧れるものの、景色が違うからすぐ引き返し、なんかよくわからないところに隠れます。かぶきの場合は布団。

かぶきはまたたびに強く、りこと違って酔っ払うことをしないコでした。反面、毛繕いがかなり下手くそでりこに押さえ込まれながら毛繕いをされていました。りこが死んでからは自分でやらなければならないものの、やはり下手。若干長毛なことと、舌の使い方が悪い。結果、眠っているときに舌が出てしまい、何度か乾いて舌がしまえないなんてことも。かわいいけど、バカ。バカだぁと笑うとすねる。猫は言葉を理解しないけれど雰囲気は読み取るので、飼い主が泣いていれば寄ってきて顔を近づけるし、笑っていれば笑っていたで大きな声だからちょっと引いて見ている。トイレも勝手に覚えるし散歩はしなくていいし、犬より楽。つらいのは服につきまくりの毛。コロコロは欠かせない。掃除機は嫌い。ただし、距離をとって「ここまでなら大丈夫」を自分でわかっている。やっぱり頭がいい。

かぶきは老齢でありながらも元気で、でも19歳の冬に痩せ始めました。年齢には敵わないわけで、またも病院通い。ただどうにもよくならないまま、どんどん痩せ細って、自宅でお迎えを待つばかり。ある日、どうしても仕事で提出しなければならない資料があって、後ろ髪を引かれる思いで出勤。午後に早退したけれど、朝の様子から考えたらわかることだったのに、帰宅したときには目を開いたまま息を引き取っていました。後悔です。あんなに甘えたがりでいつでも人の脚を枕にして横たわるような猫だったから、りこのときの後悔があったから、抱いた状態で逝かせたかったのに。どうして仕事を優先させてしまったのだろう。こんなに長く一緒にいたのに。申し訳なくて、エゴかもしれないけれど今回は移動火葬車に来てもらって、骨上げして、骨を粉にしてもらいました。平成24年6月11日。後悔を忘れないように。
自分が死んだときに、一緒の棺桶に入れてもらえるだろうか。それとも動物と一緒はよくないと言われてしまうのだろうか。無縁仏にしてもらうつもりなのだけど。

飼えるなら、また一緒に過ごしたい。でも、毎日の通勤と今の業務を考えると無理。私の寿命がいつ来るかわからないことになったので、やはり無理。自分の猫不足を感じながら、昔の画像を見て我慢する日々。
だって、姉妹じゃないのにこんなに一緒だったから。

画像1

画像3

だって、シンクロ!




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