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メンタルヘルス〜4つのケア〜

こんにちは、りこ@産業医兼労働衛生コンサルタントです。
前回メンタルヘルス、メンタルのことを書きました。早速「スキ」をクリックしていただいてありがとうございます!
今回は職場のメンタルヘルス対策の中でとても大切な「4つのケア」について、そしてメンタルヘルスケアの具体的な進め方について書いていきます。

4つのケア

前回も書きましたように、メンタルヘルス対策には、4つのケアが重要です。厚生労働省 職場における心の健康づくりのなかの図を下記に引用します。

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セルフケアは自分でできるメンタルヘルスケアのことです。なんとなく体調が悪い、体がだるい、疲れやすいと感じたり、眠れない、不安だ、ドキドキするなどの気になる症状がある時、ぜひ、厚生労働省「こころの耳」サイトにある「疲労蓄積度セルフチェック」をやってみてください。20問ありますが、直感的にパッパッと答えられますし、結果も印刷できたりPDFとして保存できたりします。色彩バランスも良くとても見やすいですし、疲労蓄積ケアのためのアドバイスも秀逸です。ぜひご覧ください。

ラインによるケアは、管理監督者が労働者の心の健康保持増進のために行う活動で、部下の事例性の把握や職場環境などの把握と改善、労働者からの相談対応、職場復帰支援や産業保健スタッフとの連携などが含まれます。

事業場内産業保健スタッフ等によるケアは、事業場内産業保健スタッフ等が労働者の心の健康保持増進のために行う活動で、産業医や産業保健師等が対応することが多いと思います。内容は、メンタルヘルス研修の企画や実施をしたり、職場環境等の評価や改善、セルフケアやラインケアの支援、労働者や管理監督者からの相談対応や職場復帰への支援、外部専門機関との連携など多岐にわたります。

事業場外資源によるケアは、事業場外の様々な機関が事業場に対して心の健康づくり対策を支援する活動で、会社以外でメンタルヘルスケアを行なっている機関です。精神科や心療内科を標榜している病院やクリニック(診療所)で治療を受けたり、精神保健福祉センターや保健所で相談をしたり、従業員支援プログラム(EAP)を利用して労働者のカウンセリングや企業向けのメンタルヘルスセミナーを開催するなど事業所と直接関係のない外部機関だからこそできる取り組みがあります。

メンタルヘルスケアの具体的な進め方

4つのケアについて理解していただけましたでしょうか?では、具体的にはどのように事業場内でメンタルヘルスケアを進めるのでしょうか?

厚生労働省 職場における心の健康づくりのなかの一部を下記に引用します。

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①メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供
労働者の皆様には「セルフケア」に関する研修、部下を持つマネージャーや管理職に向けた「ラインケア」に関する研修など、メンタルヘルスについての教育や情報提供を計画的に、継続的に行うことが求められています。また事業場内の教育研修担当者を計画的に養成することも大切です。

②職場環境等の把握と改善
作業環境や作業方法、労働時間や仕事の質と量、ハラスメント等、様々な要因が重なってメンタルヘルス不調を引き起こします。日頃から労働者からの意見を聴取したり、職場巡視などで職場環境等を評価したりしながら、ストレスチェック制度を活用して問題点を明らかにし、それに対する対策を考え、改善に努めます。

③メンタルヘルス不調への気付きと対応
メンタルヘルス不調の兆候を早期に発見し、適切に対応することで、深刻化・重症化せずに改善する可能性が高くなります。そのためには、次の3点を重視して対策を考える必要があります。

1)労働者による自発的な相談とセルフチェック
メンタルヘルス不調に気づいた時に、労働者が自ら気軽に相談できる窓口があれば、自発的に相談でき、そしてセルフケアにつなげることができます。それは事業場内の産業医や産業保健師による相談窓口であったり、事業場外の相談機関を利用できるように情報を提供したりすることで、より活用しやすくなります。ストレスチェックの結果が本人へ通知されますが、その結果によっては産業医等の面談を推奨されている場合もあります。その時にアクセスしやすい環境を整えることはとても重要だと痛感しています。相談したくてもどこに相談したら良いのかわからなかったり、相談したとしてもその後のことが不安になってしまったりすると、結局相談せずに勤務を続けてしまうことになり、より症状が悪化する可能性があります。セルフケアも大切ですが、誰かに聞いてもらうことで、より考えが整理され、症状がはっきりし、その後どうすれば良いのか明確になります。

2)管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応
管理監督者や部下を持つマネージャーや管理者は、日常的に労働者からの自発的な相談にできるだけ対応できるように努めていただけるとありがたいと思います。長時間労働等により疲労が蓄積していると考えられる労働者、遅刻や欠勤が増えている労働者、顔色が優れずいつもよりも活気がない労働者など「普段と違う」様子に気づいたら、迷わず声かけをし、話を聞くようにしましょう。必要に応じ事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源への相談や受診を促しましょう。またメンタルヘルス不調と考えられる具体的な症状や兆候を知っておくことも大変重要です。これは労働者本人にとっても、管理監督者にとっても重要で、もしかして?と思うことが早期発見や早期介入につながる第一歩となります。そのための教育研修なども定期的に開催できるとより良いと思います。

3)労働者の家族による気付きや支援等
労働者の家族に対して、ストレスやメンタルヘルスケアの基礎知識、事業場のメンタルヘルス相談窓口などの情報を提供することで、自宅に帰ってきた労働者に対して家族が先に気づき、本人の気づきにつながることも多々あります。家族だからこそ理解できることもありますし、ずっと一緒に過ごしているからこそ気づく兆候もあると思います。そのためにも家族に情報提供をすることは労働者を守ることにもつながりますので、こちらの対策も重要となります。

厚生労働省から色々なパンフレットが公開されています。中でも、「こころの健康 気づきのヒント集」「派遣労働者のための こころの健康 気づきのヒント集」などは気づくポイントやセルフケアについてわかりやすく書かれています。また業種ごとのメンタルヘルス対策についてわかりやすくまとめてあるのは、「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」です。ぜひ参考にしてみてください。

④職場復帰における支援
メンタルヘルス不調により休業した労働者が、安心して職場復帰できるように、そして職場としても円滑に受け入れ、就業を継続できるように体制を整えるために、衛生委員会等において調査審議し、職場復帰支援プログラムを作成し、実行します。一度仕事を休んでしまうと、復帰した後のことは大変不安になり、復帰前には一時的に症状が悪化する場合もあります。そのことも踏まえて、労働者本人が安心して徐々に復帰できるように労働時間を短縮して対応したり、業務量を極力抑えたりするなどの工夫が必要です。このプログラムを作成するためには、主治医の意見が大変重要となります。労働者がどのようにすれば職場復帰しやすいか、職場環境改善へのアドバイスや就業上の配慮(時間外労働の制限や交替勤務や出張等の制限など)についても、ぜひ主治医の意見を取り入れて検討していただけると良いと思います。この項目についてはまた後日、詳しく書いていこうと思います。

以上になります。メンタルヘルスについて、なんとなく理解できましたでしょうか?次回はストレスチェック制度について書いていこうと思います。

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