見出し画像

衛生委員会はなぜ必要?

こんにちは、りこ@産業医兼労働衛生コンサルタントです。
前回衛生委員会の構成について書きましたので、今回は役割や話し合う内容について書いていこうと思います。

厚生労働省 安全衛生委員会を設置しましょう のパンフレットや法律を参考にまとめてみました。

画像1

この、「労使一体となって十分な調整審議を行う場」について、下記に引用している「労働安全衛生法の施行について」のなかには「安全・衛生委員会は、労使が協力し合つて、当該事業場における安全衛生問題を調査審議するための場であつて、団体交渉を行なうところではないものであること。なお、安全・衛生委員会の設置の趣旨にかんがみ、同委員会において問題のある事項については、労使が納得の行くまで話し合い、労使の一致した意見に基づいて行動することが望ましい」と記載されています。

画像2

衛生委員会は毎月1回以上、原則、労働時間内に開催します。このことは、厚生労働省からの通達で、昭和47年9月18日発基第91号「労働安全衛生法の施行について」のなかに書かれています。以下に引用します。

三 安全衛生管理体制(第三章関係)
  労働災害を防止する本来的な責任は事業者であることはもちろんであり、企業の自主的活動なくしては、労働災害の絶滅を期することはできない。
  その企業の自主的な安全衛生活動を制度的に担保するために、この法律では、従来の労働基準法におけるものより充実した安全衛生管理組織の設置について規定したものであること。
  この法律にもとづく安全衛生管理組織には、次の二通りのものがあること。
 (一) 労働災害を防止するための一般的な安全衛生管理組織としては、
  イ 総括安全衛生管理者
  ロ 安全管理者
  ハ 衛生管理者(衛生工学衛生管理者を含む。)
  ニ 産業医
  ホ 作業主任者
  があり、また、安全衛生に関する調査審議機関としては、安全委員会および衛生委員会ならびに安全衛生委員会がある。
   この法律では、安全衛生管理の企業の生産ラインと一体的に運営されることを期待し、一定規模以上の事業場において当該事業の実施を統括管理する者をもつて総括安全衛生管理者にあてることとしたものであること。
   これに伴い、安全管理者および衛生管理者は、総括安全衛生管理者を補佐する者として位置づけられるとともに、産業医、作業主任者も法定され、事業場内における安全衛生管理体制は、一層の充実が期待されるにいたつた。
   事業場内に設けられる類似と組織としては、鉱山に設けられる鉱山保安組織および一定の公害施設を有する工場に設けられる公害防止組織がある。
   これらの組織と安全衛生管理組織とは、それぞれ別個の法律により別個の法目的のもとに置かれているわけであるが、一の事業場に安全衛生管理組織と重畳して置かれる場合には、それぞれの組織間において十分連絡が行なわれ、その機能が有効に発揮されるよう指導すること。
   また、安全・衛生委員会は一定規模等の事業場に設置義務があり、事業者が講ずべき事業場の安全、衛生対策の推進について事業者が必要な意見を聴取し、その協力を得るために設置運営されるものであり、したがつて、安全・衛生委員会の活動は労働時間内に行なうのを原則とすること。
   安全・衛生委員会は、労使が協力し合つて、当該事業場における安全衛生問題を調査審議するための場であつて、団体交渉を行なうところではないものであること。なお、安全・衛生委員会の設置の趣旨にかんがみ、同委員会において問題のある事項については、労使が納得の行くまで話し合い、労使の一致した意見に基づいて行動することが望ましいこと。

画像3

衛生委員会で話し合われる内容は多岐に渡ります。例えば、腰痛対策、熱中症対策、両立支援、メンタルヘルスなどなどです。産業医からの勧告等に関しても、この衛生委員会で報告することが事業者の義務となっています。詳しくは以前のnote記事をご覧ください。

衛生委員会の議事録を3年間保存する義務がありますので、その事業場ごとに議事録のテンプレートなどを用意して保管しておくと良いと思います。労働者への周知徹底も忘れずにお願いします。

労働安全衛生法第120条により、衛生委員会の未実施は50万円以下の罰金が課せられます。ご注意ください。

2020年8月27日厚生労働省の通達により、衛生委員会のオンライン開催が認められました。詳しくは、情報通信機器を用いた労働安全衛生法第 17 条、第 18 条及び第 19 条 の規定に基づく安全委員会等の開催について に書かれています。

また三田労働基準監督署が作成している「安全衛生委員会等を見直そう!!」を見るとチェックリスト形式となっており、非常にわかりやすく、その後に記載されている「安全衛生委員会規定作成例」も参考になりますので、ぜひご活用ください。ここにも記載されているように、「委員会は、委員の過半数の出席をもって成立する」のような規定を作成している場合、産業医は毎回出席することが必須ではないという解釈もできます。しかし、その場合、「産業医が欠席した場合に議事内容を提供していない」と労働基準監督署から指導が入ります。

衛生委員会についてお分かりいただけましたでしょうか?労働衛生コンサルタント試験の中ではほんの一部ですが、実務としても大切な部分になるので、法律も含めて書かせていただきました。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。「スキ」ボタンを押していただけると嬉しいです。サポートもしていただけると、とても励みになります!