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【要点まとめ】『お母さんの「敏感期」- モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる』

現役保育士・日本語教師オススメ本
『お母さんの「敏感期」モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる』

相良敦子先生とは

「モンテッソーリ教育」を日本に広めた第一人者
わたしが大学で幼児教育を学んでいたときも、教授から相良先生の本を勧められて読んだことを記憶しています。
2017年に逝去されてしまいましたが、今回、10年ほどぶりに相良先生の本を読み返し、要点をまとめてみました。

Kindle Unlimitedを登録すると、30日間無料で読み放題。
相良先生のこの本が無料で読めることはなかなかないので、ぜひ!


モンテッソーリ教育のキーワード「敏感期」

「敏感期」とは

長い生涯を生きていく上で必要なものを獲得するために、特別に感受性が敏感になる時期。
幼児期の子どもには、一生に一回きりの特別に敏感な感受性を発揮する「敏感期」という時期が訪れる。
この「敏感期」になると、子どもは、環境から必要なものを吸収し、自分を創っていく。

「敏感期」には、どんなものがあるか

①「秩序感」の敏感期

よく言われる「イヤイヤ期」の時期は、まさにこの敏感期。
生後数か月から表れて、2~3歳がピーク。6歳頃には消えてしまう。

  • いつも決まった「順番」通りでないと気が済まない

  • いつも同じ「場所」でないとイヤだ

  • 「これはわたしの!」「これはママの」と、「所有物」が入れ替わると怒る

  • 「いつもみたいにして」と、異なるやり方をすると怒る

この時期は、「順番・場所・所有物・習慣」などに非常にこだわる。
内部に芽生えるこうした感覚によって子どもは、自分を取り巻く環境全体を一つにまとめたり、全体の中での部分の相互関係を理解できるようになる。

②「感覚」の敏感期

人間は「見る・聴く・嗅ぐ・触れる・味わう」という行為をし、その際に「目(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・皮膚(触覚)・舌(味覚)」という感覚器官を使い、人間の外側にあるものを自分の中に取り入れる。
感覚器官から環境刺激を受け入れ、その刺激が脳に伝えられる。そして脳から運動器官へ伝わる。

これら五感は人間が外の世界と関係をもつ大切な窓口。
この大切な窓口が完成し洗練されるのは3~6歳である。

③「運動」の敏感期

人間の身体には、400あまりの大小さまざまな筋肉がある。
その筋肉には、
随意筋肉」=自分の意志によって動かせる筋肉
不随意筋肉」=自分の意志で動かせない筋肉
の2種類がある。

歳ごろになると自分の意志がはっきりしてきて、子どもは随意筋肉を訓練し、随意運動がよくできるようになるためにエネルギーを発揮する時期になる。
この時期を過ぎると、人間は常に力を倹約する方に働き、なるべく「ラクをしたい」と思う時期に入る。

ありとあらゆる「動き方」を大まかに区分すると
①大きな動き(からだ全体を力いっぱい動かす)
②バランスをとる(線の上を歩いたり、重いものを持ったりする)
③手腕を使う(手首や腕を使って何かをする)
④指先を使う(手先を使って小さなことをする)

具体的に「指先を使う」とは

たとえば「字を書く」ことに必要な運動は
①物を指でつまみ操作すること
②手首が自由自在に動くこと
③その言語の筆順にしたがって、道具を動かすこと

一足飛びに「字を書く」指導に入るのではなく、
指先をしっかりと使う機会をたくさん提供してあげることが必要

指先を使う活動への興味は、2歳頃から
日常生活の中でお母さんが工夫して、下記のように、子どもがじっくり取り組める機会を増やす。

  • 開け閉めする」活動
    ファスナー、金具、鍵を「開け閉めする」

  • 留め外しする」活動
    マジックテープ、フック、かぎホック、スナップ、ボタンなどを「とめ外しする」

  • はさむ」活動
    クリップ、洗濯ばさみなどで「はさむ」

  • たたむ」活動
    洗濯物などを二つ折り、三つ折りに「たたむ」

  • あけ移しする」活動
    スプーン、ピンセット、はし、スポイトなどを使い、容器やコップなどに「あけ移しする」

  • まわす」活動
    ハンドル、いろいろな形のふたなどを「まわす」

  • ねじる」活動
    アメやお菓子の紙、包装紙などに何かを入れて「ねじる」

  • 通す」活動
    ビーズ、玉などを細い棒やひもに「通す」

  • つまんで分ける」活動
    ボタン、豆などを数種類一緒にし、形や色にしたがい「つまんで分ける」

※本の中では、以下のように詳しく絵で表されているので、気になる方は本書を読んでみてください。

「まわす」活動例
「落とす」活動例

モンテッソーリ教育に基づいた手作りおもちゃの参考に。
高い教具を揃える必要はなく、安い材料で簡単に作ることができます。


「敏感期」を逃してしまったら

  • 「何もできない!」と子どもを責める前に、
    こんな風になってしまったのはなぜ?」と考える。
    この一瞬の思い直しが、ただ叱るだけの言葉とは別の言葉や見方を生む。

  • 「幼児期の敏感期は逃したとしても、今の敏感期は大切にしてあげよう
    という思いを強く持ち、
    「今この子はどんな敏感期にいるのだろう」と意識して子どもを見守る。

幼児期の強烈なエネルギーの「敏感期」のような形ではないにしても、人間には障害にわたって、いつも何か夢中になれるものがあり、そのために情熱を傾ける時期がある。
そのように自分の力で変われる機会をお母さんが子どもと一緒になって見つける努力はできる。

気が付いたときが「出発点」で、本当の力が発揮できるのは、「とり逃した時期の貴重さを思って胸を打ち叩くとき」であり、その後悔こそが最大の出発のエネルギーになる。

お母さんの「敏感期」

お母さんは「子どもの敏感期」を見る目を持つことが大切だが、同時に子どもへの接し方について考えたり工夫したりする「母親としての敏感期」にいつことを自覚することが重要。

子どもができるようになる教え方
【モンテッソーリ教育では「提示」と言う】

  1. 対象を一つだけ取り出す
    日常生活の中から、子どもに教えたい一つの行為だけ取り出す。
    この行為だけに注意を向けさせるためにも、他のものはなるべく全て子どもの周りから片付けるのが良い。

  2. 動作を分析し、順序立てる
    その動作を分析して、各部分ごとにどうなっているかをはっきり見せながら、各部分の動作を正確にゆっくり順を追って実行する。

  3. 難しいところをハッキリさせる
    大人自身が何度もやってみて難しいところを確認するか、あるいは子どもが必ずいきづまるところを見極めて、そこを特にていねいに分析し、「正確に・はっきり・ゆっくり・くり返し」見せる。

  4. 動作を見せる間は、言葉は使わない
    黙ってやって見せる。
    黙ってゆっくりしてもらうと、子どもはその行為に注意を集中し、「そのようにすればできるんだ」と感じることができる。
    そのあと、言葉で説明する。

  5. 正確に実行し、精密なところに心を込める
    子どもは自分の行為を完成したいという強い望みを持っているので、「正確に実行する」ことと「精密なところまでていねいにする」ことは、子どもの心を強く惹きつける。

  6. 教えながら、教える
    「子どもの間違いを訂正しながら教えてはいけない」という意味。
    大人がとっさに手を出して訂正したり止めたりすると、この反射的な大人の訂正に子どもの心は委縮する。

  7. 自分からする自由を与える
    大人は自分がして見せたことを、子どもが「すぐ」あるいは「必ず」実行することを期待するが、やり方を教えたあと、それを実行することは子どもの自由に任せなければならない

「自律」と「自立」を育てる教育

モンテッソーリ教育は、「自律」と「自立」を育てる教育

「自律」も「自立」も命令や励ましで育つのではなく、心身の必要が満たされたときに内面からあらわれるもの。

「自律」とは

  • 自分の頭でよく考え(知性を働かせ)

  • 自分のからだ(感覚器官や運動器官)をよく使い

  • 自分のやりたいことを自分で追及したり、展開できる力

「自立」とは

自分で自分の身の回りのことができるから「自立」しているとは限らない。

  • 自分の奥深いところに何らかの自信・確信・安心が生じる

  • 周囲の人や物と安定した関係を持つことができる

  • 自分で決めたり選んだり、責任をとることができる力がある

モンテッソーリ教育流 あそびの工夫

1~2歳半「手先を使った動き」中心に

以下の「手先を使った動き」に合わせた玩具を用意すると◎

  • にぎる
    にぎって叩く。にぎってなめる。にぎって振り回す。

  • つかむ
    つかんで投げる。つかんで落とす。つかんで出し入れする。

  • 引っ張る
    下げてあるタオルや洗濯物を下から引っ張る。ティッシュペーパーを引っ張る。

  • つまむ
    床に落ちている小さなものをつまむ。おっぱいをつまむ。つねる。

  • 入れる
    すきまに入れる。穴に入れる。

3歳~「折る・切る・貼る・縫う」が基礎となる

【折る】……折り紙を折る

  • 人差し指の腹で、折り山をしっかり押さえることが折り紙の基本

  • 子どもには「アイロンをかける」という言葉を使う

  • 折り方がいいかげんになってきたと思ったら、もう一度丁寧にして見せる

  • 先を急がず、何回も同じものを折り続け、より正確に折れるようになることが重要。
    同じものがたくさんできるが、それを台紙に貼ったりつないだりして、立体的な作品に仕上げる工夫を。

【切る】

①まずは切り落とし(1回のハサミの動きで切り落とせる)
 →徐々に切る紙の幅を広げていく
②いろいろな切り方を習得していく
 →カーブのゆるい曲線を切る
 →カーブをきつくしていく
 →うず巻き
 →波線
 →角を切る
 →切り抜く
 →重ね切り

【貼る】……シール貼り

  • 初期(1歳10か月~)
    最初は、シールの端を折っておき、はがしやすいようにしておく。

  • 中期(2歳ごろ~)
    シールのサイズを小さくし、端は折らない。
    枠の中にシールを貼る。
    枠のサイズをどんどん小さくしていき、シールのサイズに近づけていく。

  • 後期(2歳10か月~)
    シールサイズは0.8㎝四方ぐらいの小さなものや、長細いものも使用可。
    ①直線貼り
    ②曲線貼り
    ③円状に貼る など

【縫う】

  • 「縫う」以前に「通す」作業を色々経験すると良い。
    ①針金のような細いものにビーズなどを通す
    ②穴の空いたおはじきや玉などにひもを通す
    ③穴をあけた3~5㎝くらいのフェルトにひもを通す

  • 一度縫い
    直線→曲線→かんたんな図柄

  • クロスステッチ
    クロスの作り方を理解する
    →ひもでクロスステッチ
    →台紙をクロスステッチ(直線やかんたんな図柄から)
    →布を縫う

この4つのことを自分の思い通りに実行することができると、幼児期の創作活動や表現活動が豊かになる。

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