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うた

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詩、あるいは詞
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記事一覧

あと1年で死ぬのなら

あと1年で死ぬのなら、
恥ずかしがらずに詩を書こう
昔のアイデアノートを見返して
1本くらいは小説を完成させよう

あと1年で死ぬのなら、
近所の入りづらいジャズ喫茶に行こう
中断してるバタイユも積読のサルトルも読んで
おめかししてクラシックのコンサートに行こう

あと1年で死ぬのなら、
しばらくちゃんと話してなくて
なんとなく気まずい友達をご飯に誘おう
中学の時に喧嘩ばかりしていたあいつも
近く

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一生しよう密なことを

まただ、と自分の声で目が覚める
重く鈍った瞼を持ち上げて、
躯の奥に散った火花が
消え行くのを確かめる
残ったのは煙った欲望の燃え滓だけ

私しかいない、私しかいないのだ
そこに火を灯せるのは
そこに火を灯し続けてきたのは
その火にじっと灼かれつづけて
中指の火傷跡を見せぬよう拳を握ったのは

その蜜なんびとも吸うべからず
私は私ととびきりの睦言を交わすから

その密なんびとも解くべからず
私は私

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子ども返りの夜

ふつーに素直に
夜更かししてだらだらしたい

どーでもいい話を
おもちゃ箱をひっくり返すようにしたい

目がちかちかしそうなくらい
頭がくらくらするくらい
カラフルなこれまでのありったけを
すべて地面にぶちまけて泥だらけにしたい

好きなときに好きなものを好きな順に
風のおもむくように気のままに
分からなくてもいい、上手くなくてもいい

ただそこに転がり落ちたものをみとめて
わたしたち、やっぱり生

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Wrong magic changes...

ギターをかき鳴らしても、
息が続かないくらい歌っても、
線は五本じゃ足りない。

猫を飼っていても、
いつも食卓に花が飾られてても、
どこかで水は飲まなきゃいけない。

加工しようの無い被写体も、
ゴスロリの好きなあの子も、
脆い糸は大衆の前で紡げない。

蒼い星で吸って吐く文明を持つ者、
皆、教科書を見失い、
磁石とひっついたり、離れたり。

弟子少年の思想録 夏

夏は好きだ。
真っ直ぐに走ってくる太陽が
洗濯物をはやく乾かしてくれるから。

夏は好きだ。
初々しい桃が
恥ずかしそうにこちらを見るから。

夏は好きだ。
トロピカルゼリーみたいな夕焼けが
どうしようもなく悲しいから。

量産型アイデンティティ

オリジナルを
見せびらかすことができるほど
自己も自我も強くないので
借りてきた美人を立てました。

丸枠の中を一生懸命考える
リンクして変わるわけでもなしに

ストリートライブで
歌う歌を一生懸命考える
誰も聞いちゃいないのに

本当に必要な
吊り橋はどれだ?
本当に握るべき手はどれだ?

右も左も分からないので、
マイノリティで生きる事を決めました。

Junkest girl

膝丈プリーツスカートから
むき出しにした脚で
階段を駆け下りる時、
あたしはこの世で最強だ。