ゲーム紹介「ゴースト トリック」

半年ぶりのゲーム紹介。


以下、「本作」と呼称。

Nintendo DS版およびiOS版がリリースされている。全18章構成でiOS版は2章までが無料でプレイできる。プレイ時間は12時間程度。

あらすじとしては、

ある夜。街の片隅で、主人公は一発の銃弾によって命を奪われる。
タマシイとなって目ざめた彼は、命とともに、その記憶を失っていることに気づく。
自分は誰?なぜ殺された?犯人の正体は?
タマシイ消滅のタイムリミットは、明日の朝。
主人公の、たった一晩の“孤独な追跡劇”が始まる!
手がかりは、主人公の“死”を目撃したと思われる、ひとりの女刑事…

https://www.capcom.co.jp/product/detail.php?id=247 より引用)

というものである。主人公は一夜のうちに

・自分の死亡理由
・自身の正体

という非常に厄介な謎を解明しないといけないのである。

☆こんな人におすすめ

・練り込まれた設定のミステリーが好きな人
・独特な操作感のゲームが好きな人
・軽く遊べるゲームを探している人


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このゲームの魅力は下記の2点に集約されると思う。


①ゲームのギミック

本作の主人公は死者のタマシイということで生者には出来ない様々なアクションができる。

・モノに取り憑きながら移動する(言うまでもないがタイトルはトリック取り憑くの掛詞である)
・取り憑いたモノを操作する(ライトを点灯させる・スイッチを入れるなど)
・電話に取り憑き会話の傍受や電話線を伝って移動する
・死者に取り憑き当人が死亡する4分前にタイムスリップする

最も重要なギミックはこの4番目である。主人公はタイムスリップ先でも上記のアクションを起こすことができ、それによって死者の運命を変える(=救う)ことができる。
当然そのままでは4分後に当人が死んでしまうため、限られた時間の中でパズルを解いてゆく必要がある。いわゆるパズルアクションゲームが好きな人には是非お勧めしたい。
※「4分以内に助けないとゲームオーバー」なのだが当然コンテニューはできるため、本当の意味での死にゲーであると言える。


②ストーリー展開

冒頭、主人公が自分の死を認識するや否や、目の前で別の女性が殺害されてしまう。彼女を助けるところからストーリーが進むことになるのだが、彼女の死と上述の主人公の使命には直接の関係はないのである。
残された時間が少ないことを理解しながらも目の前の命を救うことを選択する主人公。そしてこの行動が自身の運命を大きく変えることとなる―。

本作の魅力は同時進行する複数のストーリー展開にある。主人公は自身が直接追いかける事件とは一見関係のない事件にも巻き込まれてゆくのだが、それぞれの事件やその関係者が思わぬところでつながることになるのである。

伏線回収が見事で、章をクリアするたびに解決する謎と新たに発生する謎が出てくるため展開が読めないところがとても楽しい。伏線がカチッとハマる瞬間に快感を覚える人にもおススメしたい。


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本作をプレイして想起した作品が2つある。「死亡フラグが立ちました! 」と「CITY」である。

「死亡フラグが立ちました! 」はある種本作と対極の作品である。両者の共通点はピタゴラスイッチ的なモノの動きにより人の動きに大きな影響を及ぼすことであるが、前者は結果として殺人事件が起こり、後者は結果として殺人事件を防ぐこととなる。伏線が思わぬところに収束する点も近しい。
余談だが両者ともに初出は2010年であった。その手のからくりが流行していたのかもしれない。



CITYはアニメ化もされた「日常」の作者の最新作である。「日常」のシュールさを継承しながらも「一つの街の物語」というテーマに焦点が当てられている。
この作品においては様々な登場人物が複雑に交差することで物語が進んでいくがその点が本作に通じていると感じた。本作も「一つの街の物語」であり、一見関わりのなさそうな事象や登場人物たちが思わぬところでつながっていることが明らかになることで物語が進んでいく。現実世界でもしばしば起こる、「あなたたち知り合いだったの?!」という驚きが至る所で生じるところが楽しみの一つである。

上記2作品にハマった方であればきっと本作も気に入るだろう。



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総じて出来の良い一作。展開に無理やムダがほとんどなく、後味がさわやかだと感じた。PVの通りイラストやBGMがスタイリッシュであり、おおよそ死者の物語とは思えない軽快さを醸し出している点も大きい。

また、本作は「12時間程度でクリアできる分量」の「一夜の物語」のため、夜通しプレイすることでより世界観に没入できると思われる。ソースは筆者。うっかり徹夜で遊んでしまい、クリアした時点での時刻がゲーム内外でほぼ同じとなってしまった。

10年以上前に発売されたとは思えないような、色あせない魅力を備えた一本。無料部分だけでも一度プレイしてみてほしい。
奇跡のような一夜を、貴方に捧ぐ。

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