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PARKS AND GARDENS 「#1 日比谷公園」

公園には、人々を魅了する空気がある。
ルールなし、目的なし、誰にでも開かれた空間は、街から街への境界となり、内と外をつなげる。日々に安らぎを与え、交差する人や物からは新しい何かが生まれそうで、
僕らはそんな公園がいつでも大好きだ!

#1  日比谷公園 Hibiya Park


 晴れた日の午後には公園に行こう。
サンドウィッチとコーヒーを持って、できれば身は軽く、少なくともお気に入りの本1冊程度に済ませる。とにかく今ここにあるものをよく見ることだ。きれいだけど花の名前は知らないな、日差しが強ければあの高い木に隠れて歩こうか。そうして、いち早く中に溶け込む。あれ、あの人公園の一部かと思った、なんて言われれば立派なものだ。朝方の太極拳のおじいちゃんに賛辞を贈ろう。

 考えてみれば、公園の使い方なんて誰にも教わったことはない。何をしてもいい、何があってもいい。こんなにも人々の創造性をかき回す空間が他にあるだろうか。街の中に余白のようにして現れ、しかし僕たちの生活の中に確実な存在感を残していく。

 ここ、日比谷公園には明らかな存在感がある。周辺にはビルが建ち並び、多すぎる人の合間に夏の熱気がこもっている。都市の喧騒から逃れてくると、まさに都会のオアシス。この広さ、開放感に身を置くと、今日は少しだけ自分を許せる。今日は、できなかったことも、言い出せなかったことも、そのままにしておこう。

 心字池は、上から見ると「心」の字を崩したような形をしている。禅宗の影響を受けた、典型的な日本庭園。洋花が多く植えられた第一花壇は、造りも当時の西洋に倣っていて造形の美がある。それ以外にも日比谷公園では実験的に様々な取り組みが為され、今の形になっている。

 たしかにそこにある景色は不自然にも映る。時代に合わせ、その姿を変えながらどこか無理をしている、頑張っている。しかし、そのごちゃごちゃ感は、あるものがそのままで許される寛容さでもある。誰に対しても開かれていて、いつ行っても公園は僕たちを受け入れてくれる。

 それから、ここでは多くの文化が生まれ、築かれてきた。多様性を受け入れる寛容さは様々な出会いを生み、そこには想定外のアイデアが生まれるかもしれない。街の中にある余白は、可能性でもあるのだ。だからもっと子供には公園で遊ばせ、晴れた日の午後には公園に行こう。


DATA

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名称:都立日比谷公園 Hibiya Park
開園日:1903年6月1日
面積:161,636.66㎡
主な施設:日比谷公会堂、大音楽堂、小音楽堂、日比谷花壇
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 江戸末期までは武家の屋敷地で、明治には陸軍練兵場として使われていた。その後、日本で初めて都市計画に基づいて設計された公園として造られた。東京駅の設計で有名な辰野金吾と当時のドイツの造園に詳しかった本多静六によって造られ、今ある公園の基となる存在とも言える。

 

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