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学びたいことは「学ぶ面白さ」を伝える力だ

私は大学生で教員免許の習得を目指している。そんな私が予備校や教育実習で聞かれたことNo1が、「なんのために勉強しないといけないの?」だ。数学ってなんのためにあるの?将来、二次関数とか使わないじゃん。生きてて使ったことなくない?などの質問攻めである。その本質には勉強で得た知識は「将来使わない」、「勉強は生きていく上で、どう役に立つか分からない」という思いがある。子供の「なんのために勉強しないといけないの?」という問いは「勉強は生きていく上でどう役立つの?」とほとんど同じである。

「今は役に立たない、でも、将来どこかで役に立つよ」

よく聞くセリフだ。この答えでよいのだろうか。そして、だいたいブーイングが来る。どこかってどこ?、いつ使うの?と、、、

学問がどう役に立つか考えるのは難しい。実際役に立つことが見える学問は少なく、社会に出で直接役に立つかというと答えにくい。教員を目指すうえで、勉強の面白さと社会のつながりを伝えたいと感じた。

例に上げて考えてみる。「電子レンジに氷をいれて、スイッチを押したのに氷が溶けない」という問題がおきたとする。なぜかご存じだろうか?

ここには、「物理の固有振動」と「化学の状態変化」の原理が潜んでいる。
物理の固有振動数の原理を学んでも、生活に役立つことは中々ない。実際、固有振動数が「物体が持っている一番振動しやすい振動数(1sで振動する回数)のこと」だと知っていて得をしたことはないだろう。しかし、「固有振動数を利用して電子レンジが作られる」ことを知っていれば役に立っている部分を見つけることができる。固有振動数を知らなくてもレンジはつかえるが、レンジを温める機械ではなく「固有振動数を一致させる機械」と見ると新たな視点を得たことになる。しかも、「レンジは物質に含まれる水分の固有振動数と一致させているから、中の水分の動きが激しくなって物質の温度があがる」と知っていれば、水分のないものは温度が上がらないと分かる。氷が解けない理由はもう分かるだろう。氷に水滴が全くついていなければ固有振動数を一致させる水分がないため、温度は上がらないのである。

自分の知識が深まるほど、目の前の現象につながる。今いる自分に直接利益をもたらすことは感じないかもしれないが、この学びはより深く物事を理解するのに役に立ったといえるだろう。教育を行うのは人間性を高め、教養として知識を身に着けるためだ。

知っていることであふれる世界にいれば、未知の世界に踏み込もうとしないなら、新しい知識は役に立たないだろう。学ぶことはすでに分かっていること証明されていることがほとんどである。固有振動数だけを学ぶだけでは氷の問題が解決できないように、過去の知識が直接役立たないように感じるのは役立つレベルまでの知識がないからではないか。ここから考えると学問は「深く知るため、理解を深めていくため」にあるといえるだろう。

子供から「将来使わないのになぜ学ぶのか?」聞かれたら「どう役に立てるのか考えられるようになるため」と答えるべきなのかもしれない。自分の知らない世界、自分の分からないことを、自分の知識から導くために学問が必要である。いつか役に立つ、そう考えて役に立つのをまっていてはそのときは来ないだろう。知識は役に立つものではなく役にたてるものなのである。自分で問題を解決する力を身に着けるために、知識を増やし目の前の教科書にある「問題」を解いていくことが必要だ。

そう心に抱いて、日々生徒と過ごしているが、中々学問の魅力を伝えるのは難しい。今日つづったこの思いが、将来、間の前にいる生徒に伝わるように自分自身も勉強に励みたい。


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