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ふかづめ

爪を切るのが怖い。慎重にやったつもりが、深爪している。いや、もしかしたら、きっちり切った爪と皮膚の間が乾燥して、ピッと剥がれるのかもしれない。とにかく、爪を切った時にはなんともなかったのに、翌朝、指先が
痛くて、水が滲みる。

応急処置で絆創膏を貼る。今日は、右手人指し指と、左手親指の2本だ。

全く別件だが、内科に行って血液検査をしてもらうことになった。それで、採血をしてもらうのに腕を差し出したら「あら。指先、どうされたんですか?」と看護師さんが聞いてきた。「深爪しちゃって」と答えたら、割と大きめのリアクションで「痛ったいですよね〜!」と。えへへとわたしが笑って済ませようとしたら、「わたしもね、オロナインを塗り込んでテープを巻いて寝るんですよ。そしたら良くなるんです」と話し続ける。「あら、そうなんですか」とわたしが答えると「ええ、わたしもう、体がオロナインで出来てるんじゃないかと思って」と笑う。「いちばん合うんです。だから、わたしの体はオロナイン製なんだろうな、って。あははは」

わたしもあはははと笑いながら、「今度試してみます」と言ったら、「ええ、ぜひ」と答えた後、「あっ。別にわたし、オロナインの会社の人じゃないんですよ」と付け加えた。

すばらしいコミュ力。たった一本の採血をする1分くらいの間に、わたしはもうその人を「オロナインの人」として認識できるようになった。そして、次の深爪に備えて、オロナインを買おうかと思っている。


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