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ともだち

街で友人とバッタリ会った。「りかよ〜ん!久しぶりい〜!」ちょっと離れた向こう側から手を振りながらやってくる。「おおー」とこちらも手を振って応える。1年くらい会ってなかった。少し痩せただろうか。

眉が八の字になって、疲れたような困ったような顔だ。「大丈夫?」と思わず聞いてしまった。「うん。まあまあ」と彼女は答え、うひひと笑った。
「これから仕事なのー。今度またゆっくり〜」と言って通り過ぎようとするので、「待って」と引き留める。

「これを授けよう」と、わたしは勇者にアイテムを渡す隠れキャラのようにバッグから小袋を出した。GABAギャバを含んだチョコレートだ。「え〜、いいの〜?」と彼女は受け取り、「え?これ封が開いてないけどいいの?」とまた聞いた。「いいのいいの」とわたしは差し出す。「ストレスを低減して」と言うと、ぶはははは!とのけぞって笑う。

(このチョコレート、オットが「けっこう効く」と言うので時々買うのだが、成分よりもパッケージの文言が効いていると思う)

「またね〜!」と手を振って別れる。見た目にはおばさんの立ち話だろう。でも、気持ちは20代と変わらない。またね、と手を振る姿に嘘がない。社交辞令でも、うわべだけの口約束とも違う。次に会う時も同じ気持ちで「おおー」と手を振ることができる信頼感と安心感。多分、年に一度も会うか会わないかの人だけれど、頻繁に会っている人よりも分かり合える気がするのだ。

そういえば、この水族館のCMは、最後に出てくるコピーが長すぎてどうかと思っていたのだけれど、今日、ようやく「そういうことか〜」と納得した。JKもおばさんも、気持ちは同じなのだ。

(ちなみにムサシ役の子を推してます)


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