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FLOAT

少し前に「Float」というタイトルのお芝居を見た。高校生の演劇部だ。

水没した町に漂う一枚の畳。その上に倒れていた女子高校生が目覚める。水に浮かんで漂いながら、記憶を辿っていく。

キーワードはFloat。その場から浮いてしまう人。それが主人公だ。どうやったって、周囲から浮いてしまう。転校した主人公は、クラスに馴染もうと努力して息を潜めていても、気を抜くと浮いてしまうのだ。みんなとちょっとだけ違うことを言う。おかしいと思ったことを口に出す。わからない、と疑問を持ったことの答えを知りたがる。するとどんどん浮いてしまって、好奇の目で見られるようになる。それがだんだん虐めになっていく。

そこに現れたのが、クラスメイトの女の子。「浮かない方法を教えてあげる」と主人公を周囲に溶け込ませ、潜らせてしまう。

主人公は「そうだねー」「わかるー」を繰り返しながら浮かないように日々を潜っていく。息が詰まりそうになる。本当の自分を出すべきか、抑えべきかを悩んでいる。
実は、浮かない方法を教えてくれたあの子も、浮く人だった。本当の自分と、浮かないように抑えた自分とのギャップに苦しめられていた。

浮いたっていいじゃん。むしろ浮いてないとダメ、って言う世界もあるんだよ。そう思いながらお芝居を見ていた。


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