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Pmda

「今クールのドラマはどれも面白いなあ」とオットが言った。わたしは「コンクールのドラマ?」と聞き返した。「今クールね」とオットは言い返してきた。ちょっとギョーカイ人ぽく言ってみた、らしい。どれも面白いから、どれも見たい。時間が足りない。

さて、その中のひとつ「天国と地獄〜サイコな2人〜」は、男女の入れ替わりもの。善悪の入れ替わりでもある。「転校生」のオマージュなのか、階段からゴロゴロ。その点については、ぜんぜん、目新しくもない。だけど、展開は面白い。綾瀬はるかと高橋一生の演技が本当に入れ替わったように見えるからだ。真似とかじゃなくて、入れ替わり。しかも、綾瀬はるかに至っては、男性が女性に入れ替わって、女性のふりをしているように見える。俳優ってすごいなあ。

で、今日の投稿「Pmda」だが、これはドラマの会議シーンに何度も出てきたワードだ。日高(高橋一生)の会社がなんの製造をしているのかよくわからないが、薬品なのだろう。Pmdaは「医薬品医療機器総合機構」の略称。患者とか臨床試験とかのワードも出ていたので、それっぽいなあと思いながら見ていた。

昨年わたしが急性肝炎で入院した時、担当医から「薬剤の副作用による肝障害には、救済措置があるよ」と言われた。つまり、薬剤によって何らかの副作用が出た場合、その治療にかかった費用が給付(払い戻し)されるのだ。障害が残った場合には保障金も給付される。死に至った場合は遺族に支払われる。その認定の仕組みがどうなっているのかは知らない。医師から「認定されるかどうかは、書類を出してみないことにはわからない」と言われた。とりあえず、わたしは「副作用が出ました」と届出をした。宛先には「医薬品医療機器総合機構 健康被害救済部給付課」と書いた。

霞ヶ関なんて本当にあるのかよく知らない田舎者が、全く聞いたことのない機構に書類を提出するのは、本当に受け取ってくれるかどうかわからないアイドルに出すファンレターみたいで、投函するときに「届くのか?」とさえ思った。

すると1〜2週間経ったある日「書類に不備があるのでこれとこれを揃えて再提出してください」と電話がかかってきた。おお。ファンレターを読んでくれた!みたいな感動を覚えた。その書類の不備とは、話すと長くなるから割愛するけれども、めちゃくちゃ厄介な手続きをせねばならなかった。その手続きをするにあたり、費用もかかるし時間もかかった。そして何より人間不信に陥るようなイヤな思いもした。

やがて薄い封筒が一枚、ぺらっと送られてきた。「書類を受理しました。しかし、この手続きを待っている人は山のようにいるので、審査の結論が出るまでには8ヶ月を要すると思います」という内容のことがお役所っぽい文章で書いてあった。

8ヶ月。季節が3つくらい変わるじゃん。すごいな。全国にはそれくらい、副作用で健康被害を被っている人がいるんだな。そしてそれを一手に担っているのがPmdaなんだな。Pmdaを今まで知らなかったが、医療の弱者にとってわずかでも光となって存在する機構なのだと、ありがたく感じた。いや、もしかしたらお役所仕事で、味方になってくれるかどうかわからんぞ、とも思った。

先週、また封筒が届いた。今度はわりと厚みがあった。これは提出した書類が返送されてきたのかもしれん、と思って開けてみたら、ぜんぜん違う書式だった。「8ヶ月かかるかも、って言ったけど、意外に早く結論が出たのでお知らせしちゃうよ」みたいな内容だった。なんと。どこをどうやって前倒しになったのか。待ってる人を追い越したのかもと思うと心苦しいが、お役所っぽいところだからそれはなかろう。みなさんスムーズに審査がはかどったのであろうよ。「入院以外の治療にかかった費用は出せない」と書いてあった。えー。でも「入院期間の分だけ給付するね」と書いてあった。おお。大金ではないが、戻ってくるのはありがたい。

そんなこんなで、ドラマを見ながら、意外なところで自分に関連のあるワードが出てきたのがちょっとうれしかった。でも薬の副作用はもう2度とごめんである。みなさんも薬にはお気をつけくださいまし。




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