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GEAR

インクトーバー2022 30日目 お題は『ギア・歯車』

GEARと聞いて、思い出したのは雑誌。「男のギア」というタイトルだったと思う。表紙に万年筆や腕時計、革製のキーケース、アタッシュケースなどが整然と並んでいた。美しいフォルムと高級感のある佇まい。迷わずその雑誌を買った。わたしは使うことのない『ギア』をただ眺めるためだけに。

それらのアイテムを「ギア」と呼ぶのもその頃からだったと思う。かっこいいなあと思いながら、ツヤだなあとも思った。「ツヤ」というのはこの辺りの方言で「カッコつけて盛ってる」と言う意味だ。

当時、ギアで武装してカッコつけないと戦えない、という風潮があった。
それはビジネスマンも、自営業に括られるクリエーターと呼ばれる人たちも、みんななんらかの形で武装していた。そういう人たちがかっこいいし、憧れの的でもあった。わたしには無縁のその人たちが持っている「ギア」を羨ましいなと思いながら見ていた。わたしは単純に、「ギア」が美しいとか、機能性がハイレベルとか、そういうものを見るのが好きだし、それを使いこなす人がかっこいいと思う。

自分はどうか。持ってないし、似合わんなあと思う。だから買うこともない。上質な皮の財布とか、美しい万年筆とか。ただ眺めている。それで満足している自分が嫌だけど、それが自分だな、と思う。


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