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あふたー

フリースクールの生徒たちと、科学館で展示中の「アフターマン 人類滅亡後の生き物図鑑」展を見に行った。5000万年後にはもう人類はいなくなっているが、過酷な自然環境を乗り越えていった生き物たちが地球上にひしめいている。そんな仮説を形にした展示だ。

ウサギの仲間が2メートルを超えてシカみたいな体になっていたり、ヤギの仲間もツノみたいな硬い皮膚が頭を覆って、カブトを被っているような形になっていたりと、奇想天外と進化したらこうなるのかのギリギリを攻めてくる。

中学生たちは「わーすごい」とか「結構かわいい」とか言いながらワイワイ見て回る。等身大の動く模型もあって、鳴き声もする。「この生き物うるさいです」とかわざわざ言いにくる。「怖いです」と指差す方を見れば、目のないでっかいコウモリがいる。

退化しながら進化している。

カピバラの子孫はキリンのように首が長く、体はコンパクトに丸くなっていた。前足は退化して、後ろ足だけで動く。しかも速いらしい。「ショックです。わたしカピバラ好きなのに」と言う子がいて、衝撃を受けた。5000万年後の生き物のありようを残念がるのは、今と未来が確実につながっているのだと確信しているからだ。わたしは無意識のうちに「これは想像の世界」と、現実と切り離していたのだ。

虫類を捕食する生き物が花に擬態している模型があった。解説に「口を開けて待っていれば食べられるが、その花が咲いている時期を逃さないために、常に移動しなければならない」という苦労も書いてあった。なるほど。

人間が存在していようが存在していまいが、未来の生き物も生きるのに必死なんだな。ただ、人間がいなくなると、生態系はうまいこと回っていくように見える。そう考えると、じわじわ怖くなってきた。


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