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はっしん

遅まきながら、TikTok沼にハマってしまった。指先で画面をスクロールするごとに、世の中にはいろんな人がいるもんだ、と驚かされる。ダンスが上手い人、歌が上手い人、絵が上手い人、料理が得意な人、お化粧に詳しい人、人生の指南をしてくれる人、筋トレを教えてくれる人、英語を教えてくれる人、エクセルを教えてくれる人、かわいい動物の動画で癒してくれる人…本当にみんなすごい才能を持ってる人ばかりだなあと感心する。

ムスメが生まれる前のことだけれど、「デジオ」というのをやっていたことがある。ポッドキャストがまだあまり浸透していない頃のことだ。ポータルサイト「デジオの宇宙色々」に登録して、見よう見まねで5分程度の番組を作っていた。たいした内容ではないが、すごく緊張して喋っていたのを覚えている。TikTokを見ていると、こんなに若い人たちが軽々と、当たり前のように世界に発信しているのは、技術の進歩も大きな要因だなと思う。デジオの時はICレコーダーに録音して編集ソフトであれこれいじってからアップロードした。

デジオをやっていた頃のこと。道でばったり仕事の先輩に会った。「久しぶりやね。どうしてるん?」と聞かれて、出産が近かったし、「ずっと家に引きこもっているんですよー」と答えたが「あ、そうそう。今、デジオっていうのをやっているんですよ」と言ってみた。新しいモノ好きの先輩なら、デジオを始めるのではないかと思ったのだ。

簡単に説明をしたら、先輩は「へえ、世の中『自分を表現したい人』が多いんだねえ」と笑った。それは、ちょっと小馬鹿にした印象だったので、わたしは悲しくなってそれ以上、何も言えなくなってしまった。「もう書くのはやめたの?」と聞かれ、「何を書いたらいいのかわからなくて」と答えると、また笑いながら「自分史を書いたらいいじゃん。自分だけの物語を」と言った。

それは、素直に応援してくれている感じではなくて、しょうもない自己満足の世界でも書いていれば?と聞こえた。「あはは。そうですね、まだまだ自分史を書くには経験不足で」と言ってお茶を濁した。

TikTok動画のすべてが素晴らしいわけではない。「こんなのもアップするんだね」と困るようなモノだってあるし、もう見たくないなと思うようなモノもある。でも、ここにわたしがいます、と世界に向かって発信するのは、いいことだと思う。リスクも大きいが、それ以上に得られるものがあると思う。またデジオをやってみるかなあ。

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