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むしむし

先週末、どうしても庭の草を抜きたかった。ボウボウに生えたヨモギやミントの他に、名前も知らない雑草がびっしりと生えている。2ヶ月くらい前にヒーヒー言いながら抜いて、庭が平坦になっていたというのに。猛暑とはいえ、結構雨も続いたので、水分と光合成でグイグイ伸びてきている。

午前6時半にスタートして、一通り終えたのが午前11時。地面の草だけでなく、木々に絡まったアイビーも、蔓ごと引っ張って、結構な量を切った。

抜いたり切ったりした草は、庭の片隅に山積みして干した。風が吹くと、なかなか爽やかなグリーンの香りがする。朝露に濡れた山の夏草の匂い。なんだかいい気分であった。

今朝、ある程度乾燥した草をゴミ袋に入れようとしてビビった。山積みしていたので、表面は乾燥していたが、中の方はまだしっかりと水分があり、葉の活きがいい。上からは太陽に照らされていい感じに温まっている。虫たちには御馳走の草の山だ。

そう、虫だ。虫たちのパラダイスになっていた。バッタとかてんとう虫なら、ぜんぜんビビらない。次から次にと出てくるのは、イモムシと毛虫だ。しかも、イモムシはなんの幼虫だかわからないが、めちゃくちゃでっかい。毛虫のほうは、体も大きいが、毛が派手にお洒落で、きっと毒があるに違いない。ヤツらは葉の裏側に丸くなってぐうぐう眠っているようだった。

アイビーの蔓を一本引っ張り出すと、毛虫が1〜2匹くっついている。毛に触れないようにそーっとゴミ袋に入れるが、両腕には鳥肌が立っている。ゾワゾワしながらゴミ袋に投入を繰り返す。草を抜いたときにはこんな派手なやつはぜんぜんいなかったのに、二晩放置している間に、孵化したのか?それとも小さいやつがたくさんいて、二晩パラダイスで腹一杯食べたせいでこんなにでっかくなったとか?本体は黒で、毛は黄色と赤っぽいような太めの束が交互に生えている。それはそれでなかなかオシャレではあるが、怖い。

ゴミ袋の口を縛りながら、「これ、可燃ゴミだよね」と考えた。虫たちにしてみれば、この袋の中はそれなりに食べるものもいっぱいあって、鳥なんかに狙われることもなく、居心地がいいかもしれないが、焼却場で燃やされる運命である。

わたしは殺生をしているのだ。何匹いるかわからないが、袋詰めにして燃やすのだ。なんということだ。神様仏様は許してくださるだろうか。かといって、袋を解いて1匹ずつ出してやることもできない。

もし、自分が虫だったら。。そう考えるとものすごい罪悪感に苛まれる。事実、殺生だから。ごめんねごめんね、と言いながら、わたしはゴミステーションにゴミを出しに行った。

わたしの住む町は、ゴミを深夜に収集する。あのゴミ袋はまだゴミステーションにある。その袋の中で彼らは静かに眠っているのだろうか。すまない。


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