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ぱたーん

この頃、格段に記憶力が落ちた。人の名前や固有名詞を思い出せなくて、「ほら、あの」とか「あれ、あれだよ」とか、そんな言い方しかできなくなっている。さらに、自分がなぜここに立っているのかわからなくなることも増えた。

どうして鉛筆を握りしめたまま冷蔵庫の扉を開けて立っているのかわからない。二階に上がったはいいが、何を持って降りるつもりだったのか思い出せない。買い物に行って、買うべきものを全く買わずに帰る。今度こそと思ってメモを書くが、持っていくのを忘れる。今度は絶対、と思うが持って行ったメモをどこにしまっているのかわからない。そしてたいていどこかで落としている。

わたしは子どもの頃から、ルーティンでやることが全くない。生活習慣というものが確立していないのだ。朝起きて、何も考えずにぼーっとしたまま顔を洗って歯を磨いて、という人の話をよく聞くが、わたしの場合は、毎朝起きるたびに「えーっと、まず何からすればいいんだっけ?」と考える。そして、一度も同じパターンで物事が進むことがない。昨日は顔を洗うところから始めたが、今日は先に着替えた。そして、ひどい時は歯磨きをするのを忘れて家を出ることもある。「あ、歯磨きしてない」と気づいた時にはもう職場についている。

思いついたこともすぐに忘れる。炊事をしながら「あ、今日のnoteはこれを書こう」と思いついたことも、パソコンに向かう時には忘れている。歩きながらいいことを思いついても、職場や自宅に着いて扉を開けた途端に思い出せない。

「あれ?」と思った時にはもう、何も思い出せない。まるで夢を見ていたのかと思うくらいに、ぼんやりとしたイメージというか、空気感だけが残っていて、もやもやした気持ちになる。

先日、チラッと立ち読みした時、高齢者の脳トレ(特に前頭葉)は、『アウトプット』が大事なのだと本に書いてあった。コツコツと独学で勉強するのではなく、対面で人と話をすることの方が何倍も脳のトレーニングになるそうだ。

老後、わたしの話し相手になってくれる人がいたらいいな。でも、「またその話ですか」と言われないように、やっぱりインプットも大事だと思う。
今日はこれから、映画を見にいくとする。


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