SHOES
子どもが生まれて、初めて履く靴を選んだ時、その靴がわずか数ヶ月で履けなくなるとは考えてもみなかった。
子どもの足はぐんぐんと大きくなる。ムスメは小さく生まれたせいか、成長も控えめで、よそのお子さんのようなスピードではないが、それでもじわじわと大きくなる足に驚いたものだ。
わたしが子どもの頃、父だったか祖母だったかに『服はどうでもいいが、靴だけはちゃんとしたものを履け』と言われたことがある。それは特別に高価なものという意味ではなく、作りがしっかりとしていて、足にフィットし、歩きやすく疲れにくいもののことだ。
その背景があるから、ムスメが「この靴が欲しい」と言っても、ペラペラの靴底だったり、デザインが可愛くても歩きにくそうだったりすると「却下」してしまう。ムスメが小学校低学年の時、お友だちの持っているキラキラのサンダルに憧れているのを知っていながら却下し続けていた。よほど欲しかったのだろう。オットの母におねだりして買ってもらっていた。とてもとても歩きにくそうだったが、ムスメは嬉しそうにしている。わたしは複雑な気持ちになった。最初の靴を買った時、この先ずっと、足にいいものだけを履かせようと思った自分が傲慢だった。ムスメにはムスメの好みや主張があるのだ。
ムスメのファーストシューズは、今でも箱にしまって置いてある。コロンとした形で、シンプルなデザイン。もうこれからは、彼女は自分で靴を選んでいくのだ。
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