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だんめん

昨夜、早めに寝た。そしたら長々と夢を見た。

わたしはかなり広い土地、しかも何かの跡地をスコップで掘っている。サクッと音がして、スコップが地面に刺さる。グイッと持ち上げる。土は軽い。地面の中から現れたのは、鮮やかな黄色のスポンジ状の地下。

わたしはまるでケーキを掘り起こしているような感じで、その黄色い地下を掘っている。1メートル立方くらい掘り起こして、左右の壁を見てみると、左は上層部分に紫色のスポンジ、右の壁面はオレンジと白が幾重にもなって層を成している。キレイだった。

これは食べられるんじゃないか、と思ったがそうではなかった。「食べられませんよ」とどこかから声がして、わたしはスコップで慎重に断面を削ぎ落とす。なるべくシャープに、なるべく真っ直ぐ。

その壁の中にずっと座っていたいような気持ちになるが、わたしは次の場所に行かなければならなかった。そして、どこに行っても、わたしの名前を書く欄には、誰かがあらかじめ記入をしていた。そして、所属欄には「NH」とか「NK」とか書いてあった。

わたしはちょっと考えた。誰か、わたしのことを「NHK」の人と勘違いしているのではないかと思いついた。しかし、なぜハッキリと「NHK」と書かないんだろうか。すぐにそれを書き込んでいる人を見つけた。福田さんだ。もう25年くらい会ってない人なのに、すぐに福田さんだとわかった。

「すみません、福田さん。わたし、◯◯の職員で、NHKの所属じゃないです」と声をかけたら、福田さんは、「わあ!すみません!」と平謝りだ。いや、そんな謝らないでください、とわたしが言うと、「すみません。でも不思議です。どうしてもちゃんと書けなくて。何度書いてもNKとかNHしか書けないんです」と答えた。
それは、真実のペンというもので、本当のことじゃないことは、ちゃんと書けないんですよ、と出まかせを言おうと思ったら、目が覚めた。

目が覚めてもあのスポンジ状の地下の断面がずっと頭に残っていた。しかし、「わたしは、◯◯の職員で…」と答えた◯◯がなんだったのかは、全く思い出せない。

わたしは夢の中で、何者だったのだろうか。





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