ろうそく

伯母が亡くなった。正確には、亡くなっていた。今日、いとこから連絡があった。父が亡くなってわずか4日後に亡くなって、すでにお別れの会を済ませ、火葬も終わっているということだった。父が亡くなった時、最期を看取ることはできなかったが、たとえ冷たくなっても父が寝ているそばにいて、父の存在をかみしめることができた。伯母はもう、形がなくなってしまったのだ。わたしは急に、全身の力が抜けた。

父が亡くなった時、従姉妹はすっ飛んできてくれた。お通夜で、介護施設に入っている伯母の近況を聞いた時「もうほとんど寝たきりになっている」と言っていた。あの時もっと詳しく聞けばよかったのだが、父のことで頭がいっぱいになっていて、「お大事にね」としか言えなかった。

伯母はふっくらとして陽気な人だった。子どもの頃、独身の伯母の家によく泊まりに行って、毎回、大人の部屋には面白いものは何もないな、と思ったものだ。かわいい物もないし、本棚には難しそうな本しか並んでいなかった。ただ、大きなブランデーグラスみたいな器に入ったろうそくがあって、わたしは興味を持った。じっとそれを見ていたら、火をつけてくれた。ロウの溶ける匂いと、特別な形をしたグラスが大人っぽくて、なんとなくいい気分になった。伯母はすぐに火を消して、「火は危ないからね」と言った。わたしは伯母の家に行くと、必ずそのろうそくに火を灯してもらい、しばらく眺めていた。

介護施設に入っていた時、何度か訪ねたことがある。その度に、棚からアルバムを取ってくれと頼まれた。一緒にアルバムを見ながら、昔の父や祖母、叔母、そして伯母の生活を垣間見た。どの写真を見ても、伯母はいつも可愛らしく笑っていた。

まだ信じられず、気持ちが追いついていかない。油断すると、押し寄せてくる淋しさに飲まれてしまいそうだ。


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