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テレビ事情

うちにはテレビがない。厳密に言うと、ないのはテレビではなく「デジタル地上波」である。

わたしも夫もテレビが好きすぎる、昭和のテレビっ子だ。ところが地上波デジタル放送開始をきっかけに、夫はテレビ(地上波)と決別した。もちろんわたしも巻き添えだ。「もう、受信料を払わなくていいし」と、夫はさっさとスカパーを契約し、アンテナを立てた。テレビもチューナーの付いていないモニターに買い換えた。余談だが、中学生の娘は、ドラマも歌番組もお笑いバラエティも見ない生活だ。学校の友だちとのテレビについての会話には入っていけないが、それはそれで思ったほど不便はないらしい。

CSは、番組内容のジャンル毎にチャンネルが分かれているから、見たい番組を選ぶ精度が高くなる。夫の帰宅後や休みの日には、彼の大好きなモータースポーツか、ミリタリーや歴史検証番組か、アニメがかかっている。

テレビのチャンネル権は、基本的に夫のものだが、わたしにも見たい映画やドラマがある。そんな時は、録画予約をする。しかし不便なことに、録画はできるが、一度にひとつのチャンネルしかできない。裏番組を見ることも、録画することもできないのだ。だから、録画が始まると、その番組を見るか、すでに録画されているものを見るしかない。

このところ、わたしの見たい海外ドラマや映画が、ちょうど夫の在宅時間にかぶっている。そしてその時間は、わたしは家事をしているので、録画することになる。そのドラマを見たくない夫は、すでに録画されたものの中からチョイスするしかないのだ。

このところ夫が繰り返し見ているのが「劇場版 名探偵コナン 絶海の探偵」と、「劇場版 ガールズ&パンツァー 最終章」である。その前は「氷菓」のテレビシリーズだったり、「劇場版 響け!ユーフォニアム」だったりしたが、どうやらそのブームは去ったようだ。

そんなテレビ事情のわが家は、世間の流行や時事問題などに大変疎い。夫はそれを補うべく、ネットニュースやトレンドの検索に余念がないが、仕事で毎日外に出る彼に比べ、わたしのように週に1〜2度しか人に会わない生活をしていると、大幅に世間から置いていかれる。ワイドショーを見なくなって10年以上が経ち、もはやコメンテーターなる存在すら忘れていた。
カルロスゴーンもピエール瀧も池袋の事故も、果ては令和ですら、知ってはいるが、自分の知らない遠い世界のことのようにも感じている。


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