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冬の飲み物

寒い。九州は全体に暖かいと誤解されているが、北部九州、特にわたしの住む場所は日本海側だ。北からの海風が冷たいし、山からの冷気が下がってくる。本当に寒いのよ。

冬は暖かい飲み物がおいしい。一番好きなのは「チャイ」だ。いや、一般的な作り方とは違うから「チャイ風」か。牛乳にスパイスと紅茶を入れて煮る。砂糖やはちみつを加えて甘みをつける。スパイスは家にあるもので済ます。黒胡椒、クローブ、シナモンくらいだ。マグカップに注ぐ時は茶漉しで茶葉をこす。市販の「しょうが湯」を混ぜることもある。これがおいしい。程よいしょうがの風味と、濃い目の甘み。カロリーが高いのが悩みのタネ。

定番はもうひとつある。りんごの皮としょうがスライスをステンレスのボトルに入れ、熱湯を注ぎ、しばらく待つ。これもかなりおいしい。甘みはりんごの皮からじんわりと出てくる。薄いピンク色の透き通った飲み物だ。

そういえば、卵酒を飲んだことがある。風邪を引いた時、おばあちゃんが飲ませてくれた。日本酒のアルコールは熱で飛んでしまうので、酔わなかった。でも、あれから一度も飲んでいない。家に日本酒がないせいもあるが、自分で作ってまで飲もうとは思わない。

アルコールの温かい飲み物といえば、「ヴァンショー」だ。ホットワインのことである。スパイスと柑橘類を漬け込んだワインを温めて飲む。これも冬ならではのおいしさ。

ある日、オットが「ホットワインを飲もうかな」と言うので、それは準備が大変だね、と言ったら、「え?」と真顔で聞き返してきた。見ていると、赤ワインをマグカップに注ぎ、そこへドボドボと熱湯を入れた。「焼酎のお湯割」と同じじゃないか。それはホットワインではなく、ワインのお湯割だと言ったら、「オレくらいになると、もう、ワインはこういう飲み方でないとね」と、わけのわからない返事をした。後日、クリスマスマーケットでホットワインを買って、一口飲ませたら「うへえ。こんなのホットワインじゃない」とわめいていた。オットは味が混ざったものが苦手なのだ。(ちなみに、焼酎のお湯割は、先に湯を注ぎ、焼酎を入れるのは後だ。この作法は社会人になって、最初の飲み会で徹底的に指導された。割合は好みだが、お湯6焼酎4の割合がポピュラーである。)

温かい飲み物と膝掛けを用意し、本を読んだり映画を見たりして、ゆっくりと過ごす時間は至福だ。しかし、いいことばかりでもない。問題は、体内の水分が出たがっていると感じた時だ。せっかく温まった場所から立つのも億劫だし、寒い廊下を通って、寒い場所に行かねばならない。体内から出る水分は、せっかくの熱も放出してしまう。こうして一旦、冷えてしまった体を温めるために、また飲み物を用意する。エンドレスである。おいしいからいいけど。

さて、あなたもなにか温かい飲み物でもどうですか。


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