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ROCKET

種子島に単身赴任している高校の後輩がいる。彼はロケットが種子島宇宙センターから打ち上げられるたびに、Facebookに写真を載せるのだが、わたしはそのFacebookで、ついぞロケットの形を見たことはない。

棺桶みたいなでっかい格納ケースがトレーラーで引っ張られようとする写真ばかりだ。この中に組み立て前のロケットが入っているのだろう。2台のトレーラーが移動しているようなので、ロケットは二つに分解できるのか。超精密機器なので、さぞや運搬にも気を使うだろう。前進するスピードはかなりゆっくりなのだと聞いた。

今はなきスペースワールドというテーマパークで、「スペースキャンプ」に参加したことがある。わたしは一泊二日コースに参加したのだが、もっと本格的に体験できるコースもあったと思う。

スペースキャンプでは、宇宙飛行士の訓練の一部を体験をし、シミュレーターでスペースシャトルの打ち上げまでやる。わたしは船長になり、宇宙へと飛び立った。シナリオ通りにやるだけのことだが、なかなかの高揚感があった。夜はでっかい天体望遠鏡で月を見せてもらった。うさぎどころか、クレーターの隅々まで見えそうだった。

この時に参加していたメンバーは、真の宇宙好きで、その思いが熱かった。星を語り、宇宙を語った。ロケット開発や宇宙飛行士、旅客機のパイロットやCA、航空自衛隊など、将来の夢を色々と聞いた。みんな空や宇宙の仕事がしたいと言っていたが、実はわたしは取材の仕事で参加していたので、「あなたはどう?」と話の矛先を向けられると、みんなのように答えることができなくて申し訳なかった。

子どもの頃に「虫歯があると宇宙飛行士にはなれない」と言われて、わたしは「じゃあ無理だな」と思ったのだが、よくよく考えてみると、虫歯がなくったって、知力体力精神力のどの面においても無理だとなぜ気づかなかったのかと今更ながら思う。

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