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物好きな読書

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読書レビューやらいろいろ。マニアックな本の読み方をしています。
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【054】自己承認欲求の奴隷にならないための「欲望の見つけ方」ルーク・バージス著

【054】自己承認欲求の奴隷にならないための「欲望の見つけ方」ルーク・バージス著

哲学者ルネ・ジラールの "模倣的欲求 "の理論によれば、私たちのさまざまな欲望は、自らの内面から生じているように見えて、実は周りの人の欲望を模倣しているだけなのだそうです。
欲望は、他者との交流があるからこそ抱くことができる、極めて社会的なものであると言いう論は斬新ですが、思い当たるフシがあるように思います。

このジラールの理論をベースに、人間の欲望の仕組みを紐解いた本がルーク・バージスの「欲望

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【053】読書のすすめ:書籍は生き物。その価値は自分の成長と共に大きくなる

【053】読書のすすめ:書籍は生き物。その価値は自分の成長と共に大きくなる

書籍の価値は人によって異なります。同じ本でも、読者の知識や理解力によって、感じ方はまったく異なるからです。

そんなわけで、普段から個人のレビューだけで書籍についての絶対的な評価をすることはできないと思っています。
例えば、Amazonの書籍レビューに「ありきたりのことが書かれているだけで、価値がない本」なんて書かれていて読むのをやめようと思ったことはありませんか?私はあります。でも、それは感想を

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【049】採用失敗の原因は面接官にある?正しい採用スキルで求人応募者数を増やす方法

【049】採用失敗の原因は面接官にある?正しい採用スキルで求人応募者数を増やす方法

採用面接に臨む人向けのハウツー本やネット情報では、候補者の見極め方を中心とした、質問の問い方やチェックすべきポイントなどがフォーカスされることが多いですが、面接官の聞くスキルについての重要さが語られることはなかなかありません。

個人的には、相手の能力や考えを引き出すためには、見極める能力と同じくらい、面接する側の聞く能力が重要だと思っています。

単に相手の話を聞いているだけでも、その人の人柄や

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【045】「ゾウの時間ネズミの時間」と「イノベーションのジレンマ」

【045】「ゾウの時間ネズミの時間」と「イノベーションのジレンマ」

1992 年に書かれた「ゾウの時間 ネズミの時間」という、個人的にはエンターテインメントにカテゴライズしたい面白い生物学の本があります。

出版当時にこの本を読んで、勝手ながら世の中の仕組の一部が理解できたような気持ちになったことを覚えています。が、実際に理解できたというのは気のせいで、読むたびに新たな発見のある深い一冊なのです。ゆえにこの本は私の殿堂入りの一冊でもあります。

ざっと概要をまとめ

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【009】「私的・殿堂入り本」だけで埋め尽くされている本棚は最高

【009】「私的・殿堂入り本」だけで埋め尽くされている本棚は最高

本はすぐ溜まってしまうので、書棚にはいる冊数だけ手元に残して、残りは人にあげたり、処分することにしています。新しい一冊を追加したい場合は、どれかを一冊捨てなければならないので、常に本棚を埋め尽くしているのは「私的・殿堂入り本」ということになります。

ちなみに、捨ててしまった本をもう一度読みたいと思った際には、買えば手にはいるので、捨てる時はあまり躊躇していません。そして2回同じ本を買うことも結構

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【020】ぼーっとしてたら、外部刺激に反応するだけで一生が終わってしまうかもよ「終末のフール/伊坂幸太郎」

【020】ぼーっとしてたら、外部刺激に反応するだけで一生が終わってしまうかもよ「終末のフール/伊坂幸太郎」

私の大好きな「終末のフール」by 伊坂幸太郎の感想です。
「終末のフール」を読んでいない人にも、なんなら読んでいる人にも意味不明だと思いますが、ただの私的解釈による読書感想文です。好き勝手に書きます。

ストーリーを超ざっくりまとめると、地球に小惑星が衝突するので8年後には人類滅亡するよ、ってことが判明してからの人間模様の物語です。

小節に分かれていて、いろいろなタイプの人間物語が描かれています

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【038】シンギュラリティと種の保存と性欲と

【038】シンギュラリティと種の保存と性欲と

読書の秋なので、好きな二冊の本の感想と妄想を走らせてみます。

ヨルゲン・ランダース著の「2025」は、私が最も影響を受けた本のなかの一冊です。これは2012年に出版されたもので、客観的データによるシミュレーション結果と各領域の専門家の見識に基づいて描かれた未来予測が描かれているのですが、著者の目的はその悲観的な未来を提示することではなく、それによってポジティブな行動を奨励することです。現代のSD

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