ジャグリング動画分析 WesPeden『Throw joy』と3Dプリンタ
はじめに
ここでは、なぜこのようなことを思ったのかを個人的体験やWesPedenというジャグラーなどを踏まえて説明します。
1 WesPeden『Throw joy』とは?
そもそも、WesPeden『Throw joy』とは、彼が2014年に発売したジャグリング動画のことです。是非みてください~。
この動画作品で注目すべきは「テープで道具を接続すること」です。
この動画作品ではクラブやリング(大きさの違うもの)をさまざまなパターンで「テープでの接続」しています。
ちなみに、その中の一部(ボーナストラックに収められたもの)が公開されています。
このような「新しい道具」でどんな技ができるのか、シークエンスができるのかを探求すること。
それがこの動画のテーマのひとつになっています。
2 「3Dプリンタで、ものづくり」から得たこと
さて、ここで話はいったん僕個人の体験に飛びます。
最近、運よく、話題の3Dプリンタで、ロボットの部品などをつくるバイトをはじめました。
3Dプリンタって、要は紙を印刷するプリンタが3Dになっただけなのですが、「ものづくり」の革命となるのではないか、と言われていて注目されています。
使っていておもうのですが、たしかにこれは便利だし、なにより、物自体のイメージがかわります!!
注目するべきは、「物体がデータになる」ということです。
データは編集や複製が簡単にできます。
つまり、その物をなくしたり壊したりしても、データがあれば、その場ですぐ出力すれば手に入ります。
また、この物体を3倍にしたいだとか、取っ手の部分の角度をゆるくしたいなんてときもデータの数値をいじれば手軽に、必要なものが手に入るのです。
物体がデータになる、つまり、情報になる。
物体のイメージが固定化した「静的なもの」というより、「動的なもの」となります。
3新しい道具の系譜
さて、今度は西洋ジャグリングの背景知識に話が飛びます。
まずはツイートの前半部分の解説。
『Throw Joy』では、「新しい道具でどんな技ができるか」がテーマだといいましたが、実はそのテーマを打ち出したのは彼が最初ではありません。
その発想の源泉は、彼の師匠であるJay gilliganです。
彼はジャグリング道具の形に疑念を抱き、こんな形の道具はどうだ、どんなことができるんだということをテーマに「新しい道具」を生み出してきました。
例えば、動画にもあるような「穴が開いたクラブ」、「つながったリング」などです。
彼はまたRDLというチームとしてもそのような活動をしており、そこにはWesPedenも参加しています。
しかし、WesPedenが『Throw Joy』でとったアプローチは師匠とは大きく違います。
ここからが後半部分。
最初に見てもらった通りですが、WesPedenはテープで接続することによって、新しい道具をつくりました。
しかし、これは本当に「新しい道具」なのでしょうか?
どういうことかというと、テープで接続された道具はガチガチに固めたとしても、テープをはずせば元に戻ります。可逆的です。
つまり、固定化された「形」をもっていないのです。ちょっと一般的な「道具」のイメージと異なります。
一方、Jay gilliganがつくった道具はもうもとには戻りません。彼が道具に加えた操作は不可逆的なのです。
4 物体に対するイメージ
さて、もうおわかりかもしれませんが、WesPedenの示した新しい道具を支える「物体のイメージ」は、3Dプリンタのそれと非常に似ているということを僕は言いたい。
彼が示したことは厳密には、「新しい道具」ではなく、「新しい道具を生むためのツール」なのです。
彼の場合はそのツールが「テープ」というとてもアナログなものだったのですが、それを支える物体のイメージでなされたことは、デジタルなツールにおいても共通することではないのでしょうか。
このような点において、彼の道具は「新しい」のであり、これと同じ発想はまだまだ発掘しがのあるものだと思います。
5この発想はどこから?
さて、最後になぜ、この特殊発想がWespedenから生じたのか、を様々な観点から考察します。
①『Throw Joy』という作品から
作品内部の視点からの解釈です。
この作品で実際に行われている技を分析すると、「異種混在道具ナンバーズ」と「マルチスローへの拡張」が前半部分でのテーマとなっているのがわかります。
つまり、クラブ・リングという「異種混在性」、そして、二つの道具を同時に扱うという「マルチな扱い」の延長線上に、この「テープで道具を接続すること」は捉えられます。
このように、同一作品内部に通底したテーマがあるという解釈が可能です。
②WesPedenのジャグリング観
WesPedenといえば、その超絶技巧が注目されがちですが、広い範囲で雑多にジャグリングを消化しています。(ポップでアマチュアリズムてきなものが中心ではありますが。)
http://goodjugglingvideos.tumblr.com/
このような彼の緩いジャグリング観が「この発想を否定しなかった」というのはあるでしょう。
③WesPedenの志向
彼のファッションなどをみれば、わかりますが
④なんでもテープというアメリカ文化から
これはもう無理矢理に近いのですが、アメリカ人は「テープでなんでもDIY」という文化があるからなのか?!
http://matome.naver.jp/odai/2144245766564264901
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