見出し画像

好きなひと

この頃だんだんと朝と夜の気温が下がるようになって、冷たい風にあたると初めて彼に会ったときのことを思い出す。
付き合い始めたのは夏頃だったけれど、私たちが初めて顔を合わせたのはもう秋というよりかは冬がちらつきはじめる11月頃だった。
そんな彼と付き合って一年がすぎた。
自分自身初めての遠距離恋愛、しかも10歳下の彼氏。歳を取れば歳の差なんて関係ないって言えるかもしれないけど学生と社会人っていう明確な立場の差がなかなか受け止め難かった。
でも自分の好きという気持ちに嘘はつけないし、友達として割り切ることも無理だった。好きになってしまったらその人の全てが欲しくなる。独り占めしたくなる。他の誰にも譲りたくなかった。

でも初めは気持ちが通じ合った後も付き合ってはいなかった。彼氏彼女の存在意義なんてものはどこにもなくて、お互いが好きならそれでいい。付き合うことによって我儘になる自分も嫌だったし、友達のままなら別れもこない。そう思っていたのに。

あるとき彼の方から改めて気持ちをちゃんと伝えさせてほしいと言われ、素直に彼の声に耳を傾けていたら好きですの後に"付き合ってください"と言われて一瞬思考が止まる。

え、今なんて言ったの……?

改めて言われた好きという言葉に対しての恥ずかしさと嬉しさ、そして不安。時間にすれば1秒にも満たないであろう時の中で沢山の思いが私の中を駆け巡った。

どうしよう。断ったら今までの事が全て無くなる…?そんなの嫌だ……でも…でも……!!

答えはYESしかなかった。これから先のことはその時考えればいい。今はこの幸せと喜びに浸りたい。これから先どんな形になろうとも彼の隣から離れることだけはありえなかった。

そうしてはじまった私たちはお互いたくさん傷つけ合って、愛し合って、気づけばもう一年。時間が経つのを早く感じるのは自分が歳をとったせいなのだろうか。時間はみな平等のはずなのに時間の相対性理論というのだろうか、好きな人と過ごす時間だとか楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

何度も彼の隣から離れようと考えたこともあったし、消えてしまおうとも考えたことも幾度となくあった。それでも今もこうして彼の隣にいられるのは、他の誰でもない彼のおかげ。

どんなに私が病んでもいつも受け入れてくれて、支えてくれて、励ましてくれて。いつも救われてばかりで。

一緒に過ごす時間はいつも笑わせてくれたり、楽しませてくれたり、電話だって毎日してくれて、愛情表現も怠らない。毎日「おはよう、大好き」「おやすみ、大好きだよ」と言ってくれる。

それなりに異性との付き合いはしてきたけれど、こんなに尽くしてくれる彼氏は生まれて初めてで…もっと早く出会いたかったなと思いつつも、私もそれなりに成長して大人になった今の私だから付き合えたのかなとも思う。なんだってタイミングがあって、それが"いま"だったんだろうなって。

本当に毎日ありがとう、私もあなたのことが大好きだよ。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?