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ヒヨっ子ファンが紹介するYOASOBI-これからヒヨっ子になるあなたへ-


あなたがYOASOBIと出会ったのはいつですか?

ボカロPのAyase?シンガーソングライター幾田りら?はたまた2人がタッグを組んだあの名曲?

私もご多分にもれず、YOASOBIを"覚えた"のは名曲、「夜に駆ける」だった。
すぐに気に入った私は何度もリピートしたが、YOASOBIとはいったいどんな存在なのか、バンドか、あるいはプロジェクトチームの総称か......そこまで調べるまでには至らなかった。
私がYOASOBIを"知った"のは、忘れもしない新緑の季節。「三原色」、軽やかなサウンドに乗ってその出会いはやって来た。

YOASOBI
コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」。
-YOASOBIオフィシャルサイトより

そう、私はまだYOASOBIを知って半年の新米ヒヨっ子ファンなのだ。
そんな私に此度のYOASOBI武道館ライブを語る資格、もとい需要はあるのか?そう迷った。そして考えた結果、YOASOBIを"覚えた"けれどまだまだ"知らない"、または"知ったばかり"の人たちへ、私なりに彼らの楽曲と魅力を紹介してみようと思った。

長くなってしまったので、気になる曲目だけでも、目を通してみて欲しい。


YOASOBI『NICE TO MEET YOU』at 武道館

武道館正面

ライブ開演前

01.あの夢をなぞって

1曲目はikuraのアカペラから始まる、あの夢をなぞって。静寂に包まれた武道館に、彼女の声が、響き渡る。夢にまで見た、肌で直接感じる歌声。

「はじめまして!YOASOBIです!」

ikuraの堂々とした、そしてとても楽しそうな声に、否応なしにライブの期待が高まる。夏らしい疾走感溢れるメロディーが、どこか在りし日の青春を思い出させる。ステージに映し出された満開の夜空の花が、YOASOBIの晴れ舞台を祝福していた。

あの夢をなぞっての歌詞は、聴き流していると少し難解だ。ラブソングかと思いきや、未来の夢を見る、というファンタジー要素も含んでいる。夢で見た未来に少しずつ近づいていく期待と不安。無限に広がる将来を思う若者へのメッセージとして、テレビCMに起用されたのは記憶に新しい。

-本当に?あの夢に、本当に?って今も不安になってしまうけどきっと

はじめての武道館。はじめての有観客ライブ。セットリストとして最高の1曲目だ、そう思った。

02.大正浪漫

間髪入れずに印象的なイントロが流れる。続いてもYOASOBIの正統派ラブソング、大正浪漫だ。

─どんな時も君の言葉を待ち焦がれているんだ

次に続く歌詞は「生きる時代は違うけど」。こちらもソフトSFが軸になっている作品が原作だ。
しかしその要素を除けば、身近な恋愛模様になるのだから面白い。特にこのご時世、その姿を想いつつ言葉だけで気持ちを伝えあう経験をした人も多いのではないだろうか。

ステージ上のモニターには、大正時代を彷彿とさせるモダンな模様が、万華鏡のように次々と現れては消え、楽曲を彩った。この演出には、あまりの美しさに息を飲んだ。
もちろん演奏も負けてはいない。若い男女の情熱的かつ繊細な愛を、見事に表現していた。

03.ハルジオン

春に咲くキク科の花、ハルジオン。公園や空き地などでよく見かける植物。
花言葉は「追想の愛」。

ステージは打って変わってモノクロの幾何学模様がメンバーの足下に映し出された。MVのビビットな色合いが印象的な曲だったので、少々意外に思えた。"もう一度描き出す"ためのキャンバスだろうか。
ハルジオンは失恋ソングだ。原作のタイトルは「それでも、ハッピーエンド」。想い人と別れた主人公は、彼を思い出し、打ちひしがれ、それでも未来に向かって歩いていく。彼のいない、彼と過ごした日々の続きの未来へ。
ikuraの優しく力強い歌声が、"彼女"と、観客の心に寄り添った1曲だった。

04.三原色

ダンダンダン ダンダン
ダンダンダン ダンダン

Ayaseとikuraが観客へのクラップを促す。独特のリズム。「三原色だ!!!」。
ラテン調のサウンドが流れ出し、身体が熱くなるのを感じた。合わせて手を叩き続ける。
今回のライブは声出しNGだ。観客のコールももちろんなし。それでもこの粋な演出に、観客席と、ステージがひとつになった。

─どこかで途切れた物語 僕らもう一度その先へ

YOASOBIも結成して、はや2年、もしかしたら多忙な日々にYOASOBIや、音楽自体から離れてしまった人もいるかもしれない。そんな方はこの曲から聴いてみてはいかがだろう。きっと確かな絆をそこに感じられるはずだ。

05.もう少しだけ

開幕から駆け抜けてきたライブもスローテンポのこの曲で少し休憩......させてくれないのが嬉しい悲鳴だ。
今までステージ中央で歌い続けたikuraの、バンドメンバーから離れて歩くパフォーマンスはファンを沸かせた。歩きながら歌うikuraもさながら、合わせて上下にリフトする舞台装置も圧巻だ。

朝の情報番組のテーマ曲に相応しい爽やかなナンバー。優しさに溢れた詞は今日も頑張ろう、と思わせてくれる。
この記事を読んでくださっているのが朝でも昼でも、夜でも、夜中でも、あなたにこの言葉を届けたい。
「Have a nice day!」

06.ハルカ 07.たぶん

こちらの2曲からは、ikuraの表現力の豊かさを改めて感じさせられた。
ハルカはステージの西側、たぶんは東側を、ikuraが広く移動した。私は西の座席だったため、前者は目と耳とに集中しなければならなかった。後者の方がモニター越しであったため、楽曲に没入出来ていたかもしれない。
いずれにせよ、音源収録から更にブラッシュアップされた彼女の実力には驚かされた。

音楽には上手い下手とは別に、伝える力の有無があると私は思う。何度も聞いた歌詞なのに、この日の、特に、たぶんには心が動かされた。

またひとつ、私に大切な曲が出来た。

08.もしも命が描けたら

「この日の夜、星野月人は森の中にいました。」

「35年間生きてきた自分の命を絶とうとしていたのです。」

「生きることを諦めようとした時に得たある力...」

「月人は今日も誰かのために、絵を描く。」

「命の分だけ...」

その曲は朗読から始まった。
静寂に包まれた武道館には椅子に座ったikura、彼女だけを照らす光。まるで幻想世界に迷い込んだかのような錯覚。その瞬間、私は月明かりの照らす森にいた。

もしも命が描けたらの歌詞は、YOASOBIの曲の中でもわかりやすく物語の展開に沿って進んでいく。1本の舞台を3分強の音楽に収めたのだから、その曲に込められたパワーは並ではない。Ayaseの才能が試された1曲だと、私は思っている。YOASOBIはテーマ曲を作るのではない、物語を音楽にするユニットなのだ。
ステージにはこのライブで唯一、そのままの詩が映し出された。文字でも音楽でも魅せる、YOASOBIならではの強みではないだろうか。

09.夜に駆ける

MC明けのライブ後半1曲目は、デビュー曲、夜に駆ける。
原作の重いテーマを、軽快でキャッチーなメロディーへと昇華させている。Ayaseの才覚、そしてikuraのクリスタルボイスが噛み合った、YOASOBIの代表曲だ。
ライブではMVを担当した藍にいな氏が映像演出を担当。武道館での今、現在の"はじめまして"と、2年前突如現れた"謎のユニット"が、1本の線で繋がった瞬間だった。

─明けない夜に溢れた涙も君の笑顔に溶けてく

今、この記事を書いている最中にも何回も聞き直した。YOASOBIに出会えた奇跡、与えてもらったたくさんのもの。武道館で見た満開の笑顔は、きっと一生忘れない。

10.怪物

不穏な雰囲気のインストからの怪物への入りは、心臓がドキドキした。気取らずに言わせてもらうなら、マジでびびった。Ayaseたち作り手からしてみれば、"してやったり"ではなかっただろうか。
そしてこの曲の演出で印象に残ったものといえば、やはり突如噴出した炎だろう。こればかりは会場にいた者の特権だと思うのだが、その熱を直に感じたものだから気分は最高潮だ。

疾走感あるビートは、きっと誰もが感じたことのある生きることへの焦燥と疑問を体現している。暗い会場に光る激しいライトとステージ、恥ずかしがってこれに応えないのは損だ!そう本能で感じ、感じるままに体を動かす、手を叩く。

─跳ねる心臓が体揺らし叫ぶんだよ 今こそ動き出せ

11.優しい彗星 12.アンコール

一変して武道館は満天の星空へ。

誰かが点けたスマートフォンのライトが、瞬く間に広がる。ステージから思わず客席に目が移る。こんな贅沢な空間があるだろうか。そうYOASOBIの2人も思っていてくれたら、これより嬉しいことはない。

感じるままに脳が、体が躍動していた時間が、今この時、この瞬間を噛み締めるものに変わっていく。
その夜集った人々の、まさに"優しい彗星"がステージに降り注いでいた。そしてそのまま曲は"夜のない世界"へ......。
もし、明日世界が終わる日が来るとしたら、あの夜のことも思い出すのだろうか、なんて。

13.ツバメ

ついこの前にリリースされたばかりのツバメが、このライブのフィナーレへとバトンを繋ぐ。
この曲に関しては、別の記事(公認レポーター試験)にて語っているのでよければそちらも読んでくださると嬉しい。


─僕らは求めるものも描いてる未来も違うけれど

YOASOBIの曲はどれも原作者がいる。それをAyaseが音楽の形へと創り出して、ikuraが表現する。バンドメンバーのアシストも欠かせない。MVやライブ、テレビパフォーマンス、どれにもたくさんの人が関わっていて、それではじめて私たちの元へ届く。ひとりひとりの思いはきっと少しずつ違うけれど、そこにはたしかに愛があって、情熱があって。
受け取った私には何が出来るのか。何も出来ないかもしれない、そう不安になることもあるけれど。
あの日武道館で、たしかに私は"受け取った"。その事実は変わらない。変わらないんだ。

14.群青

あっという間の時間だった。永遠にこの時が続けばいい、心からそう思った。しかし悲しくはない。これは彼らとの思い出の1ページ目、これから先も物語は続くのだから。
ラストは群青。コールの代わりに思いっきり手を叩いた。悔いのないように?いや、今を楽しむために、そう思っていた気がする。

─大丈夫行こうあとは楽しむだけだ

YOASOBIの楽曲で、私の1番好きな歌詞。この言葉に何度助けられてきたことだろう。
群青は、今を生きる全ての人への応援歌と私は思う。幾つになっても恐いことはあるものだ。だけれど好きな気持ちは止まらない、止められないんだ。

いろいろな人のYOASOBI武道館の記事を読んだ。自分の拙い文章が恥ずかしくなったし、何度も何度も筆が止まった。けれどもやっぱり私はYOASOBIが好きだった。この気持ちを文字にして伝えたかった。

あなたには、伝わったでしょうか?

Encore
15.ラブレター

私がYOASOBIに送ったラブレター(緊張していたため上下が逆)


まず、ここまで記事を読んでくださったあなたへ、本当にありがとう。
そして大好きなYOASOBIと、今回のライブまでに関わった全ての関係者様に多大なる感謝を。

アンコールの拍手をしながら、最後はラブレターだね、私はそう囁いた。
"はじめまして"を謳うこのライブで最後に、「はじめまして」から始まる曲を選んだ編成が面白くて、愛おしかった。
ステージにはCLUB夜遊に寄せられたメッセージが流れ出し、ファンひとりひとりを思う心が感じ取れた。

また会いましょう、Ayaseのその言葉が、ikuraの笑顔が、ファンへの最高のラブレターだ。
コロナ禍での初有観客ライブ、大変なことがたくさんあっただろう。この先もどうなるかわからない。けれど、どうか音楽を鳴らすのをやめないで。
ベタだが、この言葉を持ってこの記事を纏めさせて頂こうと思う。

いつも本当にありがとう。

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