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おにぎり考

ある日、会社のデスクでおにぎりを食べていたら、
「おにぎり、似合ってるね ! 」
と言われた。

褒められたし、とりあえずと思って反射的に
「ありがとうございます。」
と答えたのだけど、

似合う…? おにぎりが….?!?!?!?
瞬間、私の頭の中にはタンクトップに麦わら帽を被った山下清の姿が浮かび、すごく複雑な気分になった。おにぎりが似合うって何なんだ…
どうせならワインが似合うとか、エスプレッソが似合うねとか言われたい。
そっちの方がなんか、都会的で素敵な大人の女性って感じがするし。

そう考えた時、おにぎりってどうして牧歌的?というか田舎っぽくて素朴な感じがするのだろう???という疑問が頭の中で浮かんだ。
それと同時に、都会的なおにぎりって存在し得るのか?という新たな問題が提起された。これは興味深い。かもしれない。

都会的….一旦、素朴すぎるイメージから引き離した方が良いのだろうか。現状の市場を確認してみると、コンビニではおにぎりに擬態したオムライス等が売られているが、これは都会的なおにぎりだろうか。いや、これをおにぎりと認めてはならない気がする。やはり、おにぎりは白米に黒くて艶のあるのりが巻かれていて欲しいと願ってしまうのが日本人の性というもの(偏見)。ここはあくまでも、素材は白米と海苔をベースとして考えたい。
チャーハンや煮卵を握って固めたものは邪道である。
なんか知らんけど、カリフォルニアロール的な香りを感じる。
私はこれらをおにぎりとは認めない!
買うし、食べるけど!

私個人が造形的に美しいな、都会的だな、と思うおにぎりは三角形で海苔が着物を着ているように巻かれていて、ちょうど頭の部分から具が少しのぞいているような、そんなおにぎりである。角がピンとしていると、なおさら都会的な感じがする。(以下、極めて個人的で偏見にまみれた論考。)角が取れていたり、海苔が全面に巻かれていて真っ黒なおにぎりは何だか都会的な感じがしない。
まず、海苔の塩梅についてだが、海苔:米が8:2か9:1程度の割合であるのが美しいと感じる。黒い画面の中に一点だけ映える白が、より白を白く見せているようで美しい。そして、そこからのぞく具。中に全て隠されてしまっているよりも少し外に顔を出していた方が、食欲をそそり、何より、食べたい具のおにぎりに迷うことなく確実に辿り着くことができるユーザービリティの高さ。これは都会的と言えるのではないか。
次に、形状について、角が取れているおにぎりが都会的な感じがしないことについて、それは、少しのいびつさから、人の手が加わっていたことを示しているような、温かみのようなものを感じとっているからなのだろうか?
逆に考えると、人の手で握られている感が薄いおにぎりを都会的と感じているのかもしれないのか。人は案外、他人の痕跡を無意識のうちに読み取っていて、その情報が目の前にしているものの印象を左右しているのではないか、とかまで考えた。恐るべし、おにぎり沼。深すぎて夜しか眠れなさそうなのでこの辺でやめときます。


あなたの思う都会的なおにぎりって何ですか?


あとがき

具について考えていたら、そういえば、上京してからしぐれのおにぎり見当たらないな、と思ってたら東海地方限定の取り扱いと知り、愕然とする。
そんなあ…昆布と野沢菜の次に好きな具なのに。
あさりのしぐれおにぎり、東京にも置いてください。