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夏が来れば思い出す

夏が来れば思い出す。
あれは大学2年生の夏、アートプロジェクトに参加するためにTちゃんとRちゃんとインドに行った。

私は海外に行くのが初めてで、機内食を食べるのも初めてだった。
CAさんの「fish or chicken」で既に浮かれていた。航空会社はインド系の会社で、乗組員の方々はサリを着ていて、何だかもう外国にいるような気分だった。

機内食もインドっぽく、スパイスがふんだんに使われていて美味しかった。
到着する直前に出された機内食には色とりどりのフルーツが乗った小皿がついていて、その中には食べたことのないような変わったフルーツもあった。
変わったフルーツだなぁ何だろ?と思いながら口に入れると、なんかぬるくて、青臭くて、ちょっと苦いような、何ともいえない味がした。
味も変わってるなぁ。さすが海外…とか思ってた。
その時までは。

インドに到着したタイミングでなんかすごく気分が悪くなってきた。
機体ふわふわしてたし酔ったかなくらいに思っていた。
まあ乗り物酔いだったらそのうち良くなるわーくらいに思ってたら全然良くならないし何ならお手洗いで胃液吐くわで悪くなり続ける体調…
めちゃくちゃ症状とつらさが食当たりのそれなんだけど!?
心当たり(さっき食べた変なフルーツ)はある。
いや、それ以外体調悪くなる要素が思いつかない。

到着してすぐに2人に迷惑をかけてはいけないと思い、耐えながら入国手続きをしていたものの、どんどん気分が悪くなる。
立ってるのも辛いくらいに気持ち悪くて、ふたりにとりあえず医務室的なとこで数十分程度横になれたら…と伝えて、医務室を探してもらった。

申し訳ない…と思いながら待ってると、2人が心配と困惑と笑いを含んだ複雑な表情で帰ってきた。
「めちゃくちゃごめんなんだけど、その場所に本人行ってもらわないと話にならなそうだわ…」と言われて、
「そうだよね…ちょっと落ち着くまで待ってね…」と返したら、
「車椅子とか借りようと思ったんだけど、なんか、守衛さんみたいな人が踊ってて(笑)全然相手にしてくれないんだよね」

踊っ….? え…どんな状況…?

ふたりに支えられながらフラフラ医務室のほうに歩いていくと、ターバンを巻いて銃剣的なものを腰にさした守衛さんが宙を見つめ、鼻歌をうたいながら手を♪いーとー巻き巻き♪みたいな感じにして踊っていた。
マジやん…

守衛さんに再度挑み、明らかに体調が良くなさそうなわたしを見て焦ったのか、ちゃんと通してくれた。しかしなぜかTちゃんとRちゃんは通してくれなくて、一人で病室に行くことに…怖

医師の方が体調を聞いてきて、英語わかんねとか思いながら
「ストマッケイク アンド フィーリングソーバッド」
と中学英語で何とか乗り切ろうとしていたら、
医師の方にスマホの翻訳画面見せられて、
「注射を打ちますか?」
と日本語で書かれていて
これは絶対に打たんくていいやつ….!!っていうか何を注射されるの….?!?!?!
と怖くなって全力で駄々をこねたらめちゃくちゃ呆れた表情しながら、
「medicine , OK ?」
と譲歩してくれて全力でうなづいた。

これで一安心…と思っていたら、目の覚めるようなコバルトブルーの色をしたコンタックみたいなカプセルが出てきた。
青すぎんか…怖っ….しかしこれを拒めば次は何が出てくるのか…
と思って意を決して飲んだ。怖いくらい効いた。

国際空港にいる医者なんだからちゃんとしてるに決まってるのに、初めての海外で必要以上に怯えていた。ちゃんと体調悪くなったときの英語覚えてから行こう、、、と思った。

回復したあと、ふたりにめちゃくちゃお礼を言い、次の目的地であるレーに
向かうことになる。

そのさきでケチャップソースだと思っていたものがデスソースだったり、食事の後の口直しがトイレの芳香剤みたいな香りだったり、頻繁に停電したり、Rちゃんの皮膚がなんか青くなったり、いろいろなことが起こりまくったのだけどそれはまた別の話。

夏も本格的な暑さになってきた今日。
食当たりにはお互い気を付けましょうね。