腰椎ヘルニア 原因の鑑別評価
腰部疾患において腰部のみに問題があることは非常に少ない。
腰椎椎間板ヘルニアにおける胸郭や骨盤帯のマルアライメント、生じやすい機能低下などを再確認したため、記事にて自身の知識整理をする。
今回は腰椎屈曲・側屈ストレスの要因となっている腰椎周囲の環境の評価を主に取り扱う。神経の障害領域やその評価については別の機会に共有したい。
腰椎ヘルニアとは
体幹屈曲または側屈によって椎間板組織に圧縮ストレスが加わり、その動作の反復によって発症する腰部疾患である。
腰椎ヘルニアの症例の多くは骨盤後傾や下位胸郭閉鎖、胸腰椎後弯などいわゆる猫背姿勢を呈していることが多い。
特に神経症状は神経根の症状か、馬尾神経の症状か、または脊髄圧迫の症状なのか鑑別する必要がある。一側性か、両側性か、反射は減弱か亢進か、会陰部の症状はあるか、高位はどこか、各種神経テストなどなど。
今回は神経に関する評価は触れず、別の機会にまとめて共有できればと思う。
腰椎ヘルニア発症の要因
腰椎ヘルニア発症の要因は大きく3つほどある。
・マルアライメント(骨盤後傾、胸腰椎後弯など)
・可動域、可動性低下(股関節屈曲制限など)
・筋機能不全(深部腹筋群、多裂筋、大臀筋、腸腰筋など)
これらの身体特徴を抱えたままスポーツや仕事を行うことで、股関節や骨盤帯、胸椎の可動域不足とそれに伴う腰椎の過剰な屈曲・側屈動作、姿勢が生じ、椎間板への圧縮ストレスとなる。
これ以外の要因ももちろん存在するが、まず確認すべきスタンダードとして3つを挙げた。
要因を鑑別する評価
疼痛が誘発される動作(主に屈曲系)を確認し、様々な条件を足し引きすることで大まかに要因を切り分ける事ができる。
ある程度の予測がついたらMMTやROM評価にうつる。
以下に予測をつけるための手がかりを列挙していく。
また座位での屈曲動作では腰椎棘突起を介して直接的にアライメントを操作することでどの椎体でエラーが生じているか確認できる。
椎体を離開するような方向で操作を加える。
また複数の要素を含む動作を観察することで代償動作から機能不全を予測できる。
今回は取り上げていないが、足関節のアライメントを回内・外に操作することで疼痛の変化がみられる症例もいる。
マルアライメントと関連する筋、関節の状態
骨盤帯のアライメントに関してはこちらの記事でも取り上げている。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次の記事も読んでいただけると嬉しいです。
参考文献
青木治人,他.スポーツリハビリテーションの臨床.メディカル・サイエンス・インターナショナル.2019
Diane Lee.The Pelvic Girdle-骨盤帯-.医歯薬出版.2011
平沼憲治,他,コアセラピーの理論と実践.講談社,2011
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