あんたは冷たい人やね
80歳台男性 たしか悪性腫瘍の治療中
いまでいう廃用症候群という症状に対する
理学療法だったと思う。
身なりが綺麗で立ち振る舞いに気品を
感じるようなおじい様。
退院される前に、ご自身が書かれた絵をいただいた。
この方との出会いは自分の色々な内面について考えるきっかけとなった。いまだに応えは出たり悩んだり。
今も苦悶の日々を過ごしているかもしれない(笑)。
正解はなんなのだろう。
戒めとしてずっと心の中に巣食う。
でも、嫌なだけではなく自分を見つめ直す
きかっけとして私の心のなかで生きている。
リハビリ室にて患者様と理学療法介入をしていた。
ちょうど出入口あたりで、その方と話をしていた。
看護師さんだったかな?事務員さんだったかな、
私のもとに来られた。
他の患者さんとの約束だったかな、それとも予約をしていたんだったかな、うろ覚えだけど確かそれを伝えに来てくれたスタッフに、
私「今、〇〇さんとリハビリ(この当時はリハビリと理学療法と運動療法の違いが分かっていなかった)してますので」。
と、お答えし、後で対応する旨を伝えた。
スタッフが帰ったあと、
患者様「大丈夫なんですか?」
私「あ、はい。大丈夫です。」
和やかな会話をしていたと思う。
大丈夫と伝えた後、しばらく間を置き、
患者様「・・・あんたは冷たい人やね。」
静かにおっしゃられた。
脳天をカチ割られるような衝撃が走った。
(え?)と思ったか、口に出たかも覚えていないが、確かに私はその場で硬直した。何故ですか!?と問いただし・・・た記憶はなく、流れでその日の理学療法は終了した。
グルグル、ぐるぐる、脳内に反芻する言葉。
胸やら腹やら喉の周りによくわからない不快感が漂う。へんな動悸が身体に住み着き、自分の表情がわからない。自分のその後の一挙手一投足に自信がなくなったのを今でも鮮明に覚えている。
翌日もその患者様に変わらず
理学療法を提供していたと思う。
普通に会話し、普通に運動していた。
退院日、
「この絵をプレゼントします。」
2枚の絵を頂戴した。
ずっと私のデスクにしまっている。
たまに手に取り、ふと当時を思い出す。自分の心のせいかな、絵が色々な感情を引き出してくる。
薄っぺらい自分を見抜かれたような気がした。
表面を取り繕っているだけと指摘されたような気がした。
所詮は自分が大切なんですね。自分勝手なんですね。
と、言われているような気がした。
いまだに自分の行動の正解はわからない。
過去の自分を恥じたらいいのかもわからない。
12~13年は悩んだと思う。
今は、「まあ、ええか。」と受け入れたつもり。
患者様から私への気づかせだったんだろうなと思う。
書いている今、多分自分の中に「これだな」って思う答えはある。
でも、答え合わせ出来ないんだよなぁ…。
閻魔さん、ちょっとだけ患者様呼び戻してよ(泣)
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